ユーロ発「世界危機」 イタリアへの伝播阻止へ綱渡りの危機対応

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そのため、EFSFの総額は変えずに、支援能力を増強する案も検討されている。イタリアなどの国債の損失の20%を保証することで、実際の融資より5倍の支援規模を確保するといった案だ。が、再拡充案も、各国の承認が必要。決着にはかなりの時間を要する可能性がある。

安全網が整う前のギリシャのデフォルトはリスクが大きすぎる。支援は当面続けざるをえない。現在、赤字削減計画未達で第6回融資の実行は先送りされているが、11月中には資金繰りが行き詰まる。各国議会承認が必要な来年からの2次支援策も財源見直しが必要。民間投資家のロス負担率(21%)を引き上げる案も出て紛糾は必至だ。こうした支援をどう続けていくかが焦点となる。

金融市場の混乱長期化による実体経済へのダメージを考えれば、銀行の資本拡充を含む安全網を整えたうえでの、“秩序あるデフォルト(債務再編)”も選択肢となろう。危機を軟着陸できるか、来年にかけ綱渡りの政治対応が続く。

(本誌:中村 稔 =週刊東洋経済2011年10月15日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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