“お家騒動”克服「あきんどスシロー」に学ぶ再生術 値下げ路線を修正、ブランド価値を再構築

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あきんどスシローとユニゾンは、利益捻出より先に、ブランド価値を見直したことが、復活への糸口となった。他社が不採算店の整理や事業売却に追われ、企業価値の再認識を怠る一方で、外部の人的リソースを活用し、社内の人間も気づかなかった潜在的な強みを引き出したことで、今日の成功に至ったといえる。

ただ、今後も競合他社を引き離せるか、楽観はできない。「スシロー」の持つ強みに迫ろうと、「くら寿司」は地場の漁協と提携したフェアを展開、「かっぱ寿司」はネタの増量に踏み切った。現在大手3社で1000店弱を展開しており、今後は出店余地も限られてくる。

「既存大手の空白地帯である北海道、九州などは100円均一ではない地場のグルメ系チェーンが強く、対抗していくのは容易ではない」(米川伸生・日本回転寿司協会専務理事)との指摘もある。

株式売却のタイミングを計るユニゾンも、早晩頼れる存在ではなくなる。その先、どれだけすしの原点を進化させていけるのか。職人集団の本当の出番がやってくる。(敬称略)

(二階堂遼馬 撮影:大澤 誠 =週刊東洋経済2011年10月15日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。

 

二階堂 遼馬 東洋経済 記者

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にかいどう りょうま / Ryoma Nikaido

解説部記者。米国を中心にマクロの政治・経済をカバー。2008年東洋経済新報社入社。化学、外食、ネット業界担当記者と週刊東洋経済編集部を経て現職。週刊東洋経済編集部では産業特集を中心に担当。

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