“お家騒動”克服「あきんどスシロー」に学ぶ再生術

値下げ路線を修正、ブランド価値を再構築

お家騒動乗り越えた「あきんどスシロー」に学ぶ再生術

「何でやねん」──。大手回転ずしチェーン「スシロー」を展開するあきんどスシロー社長の豊崎賢一(当時、取締役営業部長)は激高していた。2007年3月。創業者兄弟の弟側の謀反により、突如株式が売られ、筆頭株主が入れ替わったときのことだ。

あきんどスシローは、1975年に創業した大阪市阿倍野区のカウンター型立ちずし「鯛すし」をルーツに持つ。創業者は清水義雄と弟の豊だ。二人は84年と88年、同名の回転ずし企業を別々に起業。99年、義雄が豊側を吸収合併するという複雑な関係にあった。豊崎は84年に「鯛すし」に就職、同年兄の義雄側の企業立ち上げに参画している。

筆頭株主が異動したことに対する豊崎の怒りの原因は、事前に相談がなかったことだけではない。ほかの親族を含め豊側の主要株主3名が株式を売却した相手は、牛丼店「すき家」を主力とし、競合「かっぱ寿司」を展開するカッパ・クリエイトの株式を3割以上持つゼンショーだったからだ(現在カッパ株は売却)。ゼンショーは自社でも、回転ずしチェーン「はま寿司」を手掛けている。

ファンド傘下入り後の低価格戦略が空振り

「ゼンショーの大連合構想にのみ込まれる」。豊崎は危機感を抱き、社長の矢三圭史、非常勤取締役の義雄(共に当時、現在は退社)と、証券会社を頼りに、ホワイトナイトを探し回る。そこで見つけた相手が、現在あきんどスシローの株式の8割を握るプライベート・エクイティ・ファンド、ユニゾン・キャピタル(以下、ユニゾン)だ。寝耳に水の事件から5カ月後、ユニゾンは水産大手の極洋と共同であきんどスシローの増資に応じ、ゼンショーへの対抗路線を打ち出す。翌年11月にはМBО(経営陣による企業買収)を実施し、宿敵・ゼンショーを追い払った。

創業家の「お家騒動」を経て、ユニゾン傘下に収まったあきんどスシロー。現在同社は回転ずし市場約4500億円のうち5割強を占める大手3社の一角(ほか2社は「かっぱ寿司」のカッパ・クリエイト、「くら寿司」のくらコーポレーション)を占め、独走状態にある。

11年9月期は前期比2割の増収、営業利益は2倍強の増益を達成。東日本大震災後、競合2社の既存店売上高は前年を大きく割り込んでいるが、「スシロー」は二ケタ前後の増収を続けている。

 

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