東大の外国人学生が悩む「日本で就職」のカベ 「日本企業で自分はリーダーになれるの?」

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今年度、新たに政府が実施を始めた「外国人材活躍推進プログラム」では、中堅・中小企業の外国人留学生活用を積極的に進めている。しかし、政府の試みと留学生の希望の間にはずれがあるようだ。

早稲田大学4年の韓国人留学生のBさん(22)も、中小より大企業に就職したいという。「せっかく日本に4年も留学させてもらったんだから、親への恩返しも込めて、大企業に就職したい。両親も名の通った大手への就職を希望している。将来は日本にとどまらずグローバルに働きたいので、世界展開している企業だとなおよい」。

外国人留学生の数は年々増加傾向にあり、日本学生支援機構の調査によると2014年5月時点で18万人を超えている。出身国の内訳ではアジアが92.7%と圧倒的に多く、中国が9万人超、次いでベトナム、韓国の順である。

「日本で働くには気が強すぎる」

日本の大学で学ぶ彼らは流暢な日本語を話すものの、就職では「外国人」であるがゆえの悩みもつきない。

早稲田大学修士1年の中国人留学生であるCさん(24)は、日本のメーカーあるいは商社での就職を希望している。しかし、面接やグループディスカッションなどの選考を受ける中で、「日本の企業に就職したら、自分は一生補佐役に終止するのだろうか」との不安を抱いたという。

「グループディスカッションで、リーダーやまとめ役を務めるのは決まって日本人。私はいつもアイデアを出す役割に終わってしまう。中国人の私は、日本で就職しても結局リーダーにはなれないのだろうか」と吐露した。

東大4年の韓国人留学生、Dさん(22)は日本で就職活動中、メガバンクの採用担当者から「日本で働くには気が強すぎる」と言われたそうだ。「私は思ったことをすぐ言ってしまう性格だから……」。就職活動を経て、日本企業はあまり向いていないと感じるようになったという。

Dさんは米国留学経験もあり、日本語、英語、韓国語を流暢に操る。しかし、語学力のせいで逆に孤立してしまうことも不安だと話す。「日本人は、英語が話せるというだけで線を引いてしまうところがあると思う」。

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