東大の外国人学生が悩む「日本で就職」のカベ 「日本企業で自分はリーダーになれるの?」

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東大を卒業して日本企業への就職を目指す中国人、韓国人の留学生たち。彼らには、さまざまな悩みがある(写真:コーチャン/PIXTA)

8月1日に、いよいよ2016年卒業生の就職選考活動が解禁された。景気回復に伴い就職率がリーマンショック前の水準に戻りつつあるとはいえ、今年の就職活動はスケジュールが大幅に変更になったこともあり、学生は長期戦を強いられている。

日本で就職を目指しているのは、むろん日本人だけではない。日本語、英語、中国語、韓国語など複数の言語を流暢に操り、国内の有名大学に通うエリート外国人留学生たちも、日本での就職活動に勤しんでいる。今回、中国、韓国から日本留学している4人の女子学生に話を聞いた。

東京大学に通う中国人留学生のAさん(23)は、日本のメーカーか不動産で働くべく、目下、就職活動に余念がない。

日本で就職すると給料が4倍高い

「日本で就職するほうが、給料が4倍近く高い。また、中国はコネ社会のため、有名企業に就職するにはコネがないと入れないが、日本は少なくとも門戸は平等に開かれていて、より公平な気がする」

しかし、長期的に日本で働き続けるかどうかはAさん自身決めかねていると話す。

「私たちの世代はちょうど一人っ子政策の真っ只中で、親の面倒を見てあげられるのは自分だけ。だから数年後には中国に帰ることも大いに視野に入れている」

日本経済再生本部が発表した「日本再興戦略」2014年版では、「優秀な人材を我が国に呼び込み、定着させることが重要」とある。しかし、中国人留学生の多くは、数年間日本で働いた後は母国に戻りたいと考えていると先の留学生は話す。「中国では親孝行の意識が強く、親もまた自分の子どもが近くにいることを望んでいる」。

中国での転職活動を視野に入れると、日本での就職先はおのずと「名の通った大手企業」に絞られてくるのだとAさんは言う。

「日本では長い時間をかけて社員を育てる傾向が強いため、文系の自分は特に、数年ではあまり具体的なスキルは身につかない。だからせめて名の通った企業に就職しておかないと、中国で良い転職先を見つけられない」

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