女性はなぜ出世しないのか 悪いのは男?女?

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日本の後塵を拝していた韓国の国会は、2004年に比例代表制での女性枠を定めたクオータ制を導入。これをきっかけに、10年時点の女性議員比率は14・7%に達し、日本を上回る。今や、政治分野におけるクオータ制がない主要国は日本と米国、中国のみとなっている。

クオータ制導入の波は企業社会にも広がっている。

女性活用でトップを走るノルウェーでは、上場企業の取締役会において、男女いずれの性別も4割以上とする4割ルールを03年に制定。当時1割以下だった取締役会の女性比率は、09年には40%にまでアップした。ノルウェーの動きに、EU各国も次々と追随。今年7月にはEUが主要加盟国に対し、上場企業における女性取締役比率を15年までに30%、20年までに40%へと引き上げるよう要請した。

日本でもクオータ制について真剣に議論する時期かもしれない。内閣府の男女共同参画会議で議員を務める勝間和代氏は、「クオータ制は企業にとって方向づけとして必要。何年後に女性管理職比率10%というような実現できそうな目標を作り、いったん流れに乗ったら、やめればいい」と提案する。

クオータ制に対しては、役職に見合う能力を持った女性の不足や、導入後の現場の混乱を危惧する声も強い。ただ、クオータ制の支持者がそろって口にするのは「地位が人を作る」ということだ。「責任と権限を与えれば、優秀な女性が出てくる。最初は混乱があっても、まもなく的確な選抜ができるようになるはずだ」とトリンプ元社長の吉越浩一郎氏は強調する。

労働人口の減少、男性の所得減少による共働きニーズの増加、女性の登用による多様な視点の獲得など、女性活用が不可欠となっている。

 『週刊東洋経済』2011年10月15日号の特集「女性はなぜ出世しないのか?」では、女性活用を阻むものは何かを、女性と男性、そして社会の観点から探る。
(週刊東洋経済編集部)

写真はイメージです。本文とは関係ありません

 

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