注意!決算開示で企業のミスが相次いでいる 頻発すれば市場に「疑心暗鬼」も

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ちばぎん証券の安藤富士男顧問は、富士通のトラブルについて「情報通信に精通している企業。他の国内企業は、大丈夫なのかという不安感も広がりやすい」と話す。

現在は東芝の不正会計問題で、日本企業のガバナンスがあらためて問われている状況だ。 「ガバナンスへの期待を損なう出来事が大手企業で続けば、外国人投資家から見て日本企業は、結局何も変わらないのかという話になる可能性もある」(いちよしアセットマネジメント・執行役員運用部長の秋野充成氏)という。

SBI証券シニアマーケットアナリストの藤本誠之氏は、富士通の決算内容について「赤字額が大きく驚いた」としつつ、開示のミスが重なったことで企業として「様々な問題を抱えているのでは、という意識も働きやすい」と指摘。情報開示のミスは、市場の疑念を高めやすいと述べる。

決算発表における問題点を浮き彫りに

一方、こうしたミスは、日本企業の決算発表における問題点を図らずも浮き彫りにしている。日本企業の多くは、今でも午後3時に場が引けてから重要情報である決算を発表する。

しかし、迅速な情報開示という点から、かい離しているとの批判も多い。「日本企業の決算という重要材料をホームである日本の市場が、先に消化できないのは問題」(大手証券トレーダー)という。

市場が24時間化、グローバル化するなかで、企業の情報開示姿勢も、見直しが必要になってきているといえそうだ。

 

(長田善行 編集:田巻一彦)

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