エステーが樹木成分を活用して身の周りの空気を清浄化する新技術確立し製品化へ、3年後50億円売り上げ見込むが利益貢献は期待薄か

エステーが樹木成分を活用して身の周りの空気を清浄化する新技術確立し製品化へ、3年後50億円売り上げ見込むが利益貢献は期待薄か

エステーは、呼吸器疾患などの原因となる空気中の有害物質を、天然の樹木から取り出した成分を活用して低減させる新技術を開発した。さまざまな製品に活用していく方針で、第1弾として年内にも、協力企業との連携により空気清浄機や電気を使わない「エコ加湿器」用の薬液など向けに製品化する。身の周りの空気を清浄にする新しいビジネスとして展開する。
 
 空気中には呼吸器疾患や花粉症、アトピーなどを引き起こす原因となる二酸化窒素(NO2)が含まれている。これに対してエステー子会社の日本かおり研究所は、独立行政法人の森林総合研究所と共同で、北海道モミ(トドマツ)の葉油が、NO2の低減剤となることを発見。同時に、これまで森林整備事業時に大量に破棄されていた北海道モミから「機能性樹木抽出液」と呼ぶ葉油を効率的に抽出する技術も構築した。

両者が確立した新技術は、まずミクニをはじめとする協力企業が空気清浄機、エコ加湿器用薬液などに製品化し、年内に販売を開始する。また今回開発された抽出システム自体の外部向け販売も予定されているほか、2012年にはエステーグループが、主としてドラッグストア向けの消臭芳香剤などの日用品としても製品化する見込みだ。

「(身の周りの)脅威に対する、自己防衛としての環境衛生事業。実はここに巨大な市場があるのではないかと思っている」と、日本かおり研究所の金子俊彦社長は意気込む。今後は全国各地へのプラントの拡大、北海道モミにとどまらない機能性樹木抽出液の開発、さらなる協力企業の開拓を進める。エステーはこれらを「クリアフォレスト」のブランド名として事業展開する方針で、関連製品やシステムなどの売り上げとして初年度3億円、3年後には50億円をもくろむ。

ただ、エステーの鈴木喬社長(=写真中央=)はこの「クリアフォレスト」事業に関して「利益はほとんど出ない」と明かす。同事業は研究開発において独立行政法人の科学技術振興機構から資金援助を受けており、収益の一部はロイヤリティとして同団体と森林総合研究所へと還元することになっている。高度な設備を要するため、効率的な抽出技術の開発によりなんとか事業化にこぎつけたものの、利益貢献への期待は薄い。

「空気は孫、ひ孫の世代まで引き継ぐ国民の共通財産。企業としてこういうことをやるのは心意気」と鈴木社長は語る。当面はCSR(企業の社会的責任)の域を脱しない事業となりそうだ。

(長瀧 菜摘 =東洋経済オンライン)

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