ソニー、センサーなど好調で過去最高益達成 オリンパス株の売却益も上乗せ要因に

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 7月30日、ソニーは2016年3月期のスマートフォン販売台数を従来計画3000万台から2700万台(前年同期は3910万台)に下方修正すると発表した。都内で4月撮影(2015年 ロイター/Toru Hanai)

[東京 30日 ロイター] - ソニーが30日発表した2015年4―6月期の連結当期純利益(米国会計基準)は前年比3倍の824億円だった。ゲーム事業とイメージセンサーの事業が好調だったほか、オリンパス株の売却益も寄与し、4―6月期として過去最高となった。

4―6月期の連結営業利益は前年比38.8%増の969億円だった。据え置き型ゲーム機「プレイステーション(PS)4」の販売が前年より増加し、スマートフォン(スマホ)向けのイメージセンサーの出荷も拡大した。

さらに4―6月期は、ロジスティクス事業の売却益や、完全子会社化した米オーチャードメディアの持ち分再評価益を営業利益に計上。オリンパス株の半数の売却益468億円を営業外収益に計上したことも、最終利益を押し上げた。

好調なPS4は、通期の販売台数を従来計画の1600万台から1650万台(前年同期は1480万台)に引き上げた。イメージセンサーの売上計画は、為替の円安進行で、従来の5500億円から5800億円(前年同期は4544億円)に上方修正した。

一方で、スマホの販売は、インドでの競争激化とブラジルでの市況悪化で低迷。通期の販売計画を従来の3000万台から2700万台(前年同期は3910万台)に下方修正した。

4―6月期の連結営業利益に対し、為替変動の影響はマイナス300億円で、このうち、スマホ事業の為替変動のマイナスが254億円を占めた。これによりスマホ事業の4―6月期の営業損益は229億円の赤字(前年同期は16億円の赤字)を計上した。

記者会見した吉田憲一郎副社長兼最高財務責任者(CFO)は4―6月期の業績について「前期の構造改革の効果は出ている」と述べたが、スマホ事業の赤字が続いていることが課題だと指摘した。

スマホ事業の赤字については「ドル建てコストが費用増となっており、米国での販売も少ないため、ドル高に弱い構造」と分析。今期1年で人員削減など同事業の構造改革を完了し、来期の黒字化を目指す方針を改めて示した。

同社は6月30日に決定した公募増資と転換社債(CB)で4200億円の資金を調達する。吉田副社長は「過去7年間で株主資本が1兆円減少した。今回の資金調達は、成長資金の確保とともに、き損した資本への取り組みの意味もある」と述べた。

(村井令二 編集:田中志保)

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