外資系企業が変える採用戦略、「倫理憲章」は有名無実化

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60年代以降の高度成長期では企業の大量採用から「青田買い」が横行。以降、76年に就職協定の見直し、86年には文部省(当時)による新協定、97年就職協定廃止、98年倫理憲章制定など、おおむね10年ごとにルールが見直されている。しかし、採用活動の早期化、長期化は一向に収まる気配がない。

さて、今回改定となった「3年生の12月に広報開始、4年生の4月以降選考(選考時期は従来どおり、2013年4月入社採用が対象)」で、就活環境はどう変わるのか。

大学や就職情報会社などの見方は「スタートは後倒しだが内定時期は変わらないため、実質的な選考期間が大幅に短縮化される。会社説明会なども集中、学生も企業も混乱が避けられない」が大勢だ。そのうえで「短縮化は結果的に企業の厳選採用をさらに強めることにつながるのでは」と指摘する。

ある総合商社の採用担当者は、「短縮化により、エントリーシート提出時の足切りであるターゲット校選考をこれまで以上に強化せざるをえない」と打ち明ける。ターゲット校選考とは、企業が実質的に選考する学生の大学を旧帝大や早慶など上位校に限定するもの。

つまりせっかくエントリーシートを提出しても、大学などの要素で“門前払い”される学生がこれまで以上に増えることになる。今回の改定で、これまでも指摘されてきた就活における学生の二極化がさらに加速する可能性がある。

産業界の足並みもそろってはいない。今回改定を打ち出した日本経団連に対し、経済同友会は「14年春新卒採用から、広報活動を3年生の3月以降、選考を4年生の8月以降」にすべきと反論する。

採用早期化是正では一致しているように見えるが、「4年生夏選考になると、理系学生の研究課題提出時期と重なるため、製造業が多く理系学生の確保を重視する経団連にとってはくみしにくい日程」(商社担当者)との事情もある。

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