世界で勝てる企業が第一、雇用保護ありきではない--産業革新機構社長 能見公一

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──先ほど社長は「過剰プレーヤー問題」の解消をメリットの一つに掲げました。しかし中小型液晶はすでに業界内で自然淘汰が進んできた。この投資は消え行く企業を温存させるという形にはなりませんか。

いわゆる「ゾンビ企業」批判があるが、注意深く選んでいるつもりだ。正直、左前になったから投資してくれ、という案件は機構にいっぱい寄せられてくる。だけどそういうものは全部断っている。私自身、機構の社長に就任したとき、経産省にくぎを刺した。「ゾンビ企業を作るつもりはない。嫌だったら私のことをクビにしてくれても構わない」と。

──ジャパンディスプレイへの期待についてはどうですか。

技術もプライドも高い3社が一緒になる、という大変な再編が実現できたのは「世界で戦える日本企業になる」という理念が各社と共有できたから。日立さんも、ひょっとしたら鴻海(ホンハイ)(台湾)にぱっと売ったほうが楽だったかもしれない。しかし、目先の金勘定を超えた「思い」が伝わった結果だと思っている。3社の調整は容易ではないだろうが、きっとやっていけると思う。

のうみ・きみかず
1945年生まれ。69年、東京大学農学部卒、農林中央金庫入社。2004年、農林中金全共連アセットマネジメント社長、06~08年、あおぞら銀行代表取締役副会長、会長。09年7月、資金運用の手腕を買われ産業革新機構社長に。

(聞き手:西澤佑介、前田佳子 =週刊東洋経済2011年10月8日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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