超長期で活動する看護師ボランティア、仮設住宅訪問や在宅被災者支援に取り組む

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超長期で活動する看護師ボランティア、仮設住宅訪問や在宅被災者支援に取り組む

看護師らが手弁当で活動に参加する「全国訪問ボランティア・ナースの会・キャンナス」(菅原由美代表)および同グループの「キャンナス東北」が、東日本大震災の被災者支援で奮闘している。

すでに医療団体の多くが被災地から撤収した中で、キャンナスでは9月下旬時点でも十数人の看護師や理学療法士、作業療法士らが宮城県石巻市や気仙沼市内で活動を継続。「震災発生から9月10日までの活動実人数は556人、延べ人数は約4500人」(菅原健介・キャンナス東北・東北統括リーダー=理学療法士)に達している。震災発生当初、「最低でも1年は被災地で活動する」(菅原健介氏)ことを目標に、避難所などで活動をスタート。現在も粘り強い活動を続けている。

支援内容も被災地の実情に合わせて柔軟に変化させている。震災当初は看護師らが避難所に24時間常駐して住民の健康管理やトイレ掃除など衛生状態の改善に取り組んできたが、避難所の閉鎖・縮小とともに活動の重心を仮設住宅訪問などの住民支援にシフト。8月下旬から、各地の仮設住宅を訪問し、「孤立防止」を第一の目的に住民同士が顔を合わせる「お茶会」の開催や住民への声掛け活動を続けている。

そうした活動の中から、仮設住宅で生活を送る住民が直面する新たな問題が浮かび上がってきた。キャンナス東北で石巻エリアリーダーを務める佐々木あかね看護師によれば、「8月27日以降訪問した、石巻市内の仮設住宅12カ所のうち8~9割で、仮設住宅の敷地内に設けられた集会所がまったく活用されていなかった」という。
 
 「集会所の鍵は市役所が管理している場合が多く、ほとんどの集会所の談話室には机も白板も置かれていなかった。結果として、住民同士が顔を合わせる機会もなかった」(佐々木氏)。


■石巻市で長期の支援活動を続ける菅原健介氏と佐々木あかね看護師

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