僕が「ザハ案新国立」建設に大賛成だった理由 建築の経済的価値は「長期スパン」で考えよ

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そういえば都庁建設の際にも「ひと悶着」ありました(写真 : scAner / PIXTA)
長年コンテンツ業界で仕事をしてきた岩崎夏海氏が、その中で培った「価値の読み解き方」を駆使し、混沌とした現代のライフスタイル感をつづります。本記事は岩崎夏海メールマガジン「ハックルベリーに会いに行く」(夜間飛行)からの転載です。

 

国立競技場の建設を巡って、批判の声が喧しい。平野啓一郎さんや為末大さんが反対の声を上げてからその流れが加速し、ついには先日、首相が白紙撤回を明言した。

しかしながら、これはけっして逆張りでいうのではないのだが、ぼくは新しい国立競技場の建設には大賛成だった。

「バブルの塔」も今では東京のシンボル

当記事はプレタポルテ(運営:夜間飛行)の提供記事です

新しい国立競技場の喧噪を見てぼくが思い出すのは、都庁建設時の喧噪だ。

今の都庁はぼくが大学生だった25年前に完成したが、完成する前というのは、それはもう世間のバッシングがもの凄かった。バベルの塔になぞらえて「バブルの塔」と呼ばれ、あらゆるメディアがさんざん扱き下ろした。

ところが、それが完成したときの反転ぶりもまた凄まじかった。今度は一転、お祭り騒ぎになったのである。テレビで特集が組まれ、雑誌の表紙を飾り、CMにも登場した。さながら大スターがデビューしたといったような扱いだった。建てられる前のバッシングムードは一掃され、今度は東京の新しいシンボルとしてあがめ奉られるようになったのである。

そうして今は、東京の景色にすっかり馴染んで、あの建物がムダだという人は誰もいない。それどころか、観光の名所として有形無形のさまざまな恩恵を日本や東京にもたらしている。

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