【産業天気図・空運業】原油高騰が懸念材料だが、需要好調で「曇り」に薄日差す

空運業の今期は、原油高騰が懸念されるものの、国内・海外ともに需要は伸びており、「曇り」に薄日が差してきた。ゴールデンウイークの旅客数が好調に推移したほか、JTBによると夏の海外旅行の旅行者数も今年は2001年以来過去最高となる見通し。特に中国は反日デモの影響が払拭されて急回復、その他のアジア路線も好調だ。各社が推進している機材のダウンサイジングにより、燃油削減や搭乗率向上の効果が生まれ、採算も改善する。そのほか中期の各社共通のプラス要因として、日中航空交渉による中国路線増便の可能性も挙げられる。マイナス要因としては、JR東日本の東北新幹線が07年3月から全席禁煙車両になり、国内線顧客が流出する懸念があろう。
 各社を個別に見ると、日本航空<9205.東証>は国内線が前期の安全トラブルによる顧客流出からまだ回復していない。会社側は当初「06年12月ごろには顧客もほとんど戻るはず」としていたが、西松遙・新社長は5月、「予想よりその回復速度は遅い」と改めている。ただ、国内線は燃油費高騰で4月から4%値上げした。富山など不採算路線も廃止し、通常より1000円高いシート「クラスJ」も増やして客単価も上がる。国際線ではリゾート路線など単価が低く、儲けが出にくい不採算路線を廃止。これらの点で前期よりも一定の収益改善効果はありそうだ。日本航空は燃油価格(シンガポールケロシン)を75ドル、為替レートを120円で見ている。会社予想収益は、売上高2兆3000億円(前期比1016億円増)、営業利益170億円(438億円増)のV字回復を見込んでいるが、国内線の回復が遅いため、下振れする公算が大きい。
 全日本空輸<9202.東証>は、国内線が日本航空やスカイマークエアラインズ<9204.東証マザーズ>の安全トラブルによる顧客流入で絶好調。東京発着便は5000円割高のスーパーシートも拡充して単価も上昇、国内線に不安材料は見当たらない。国際線は北米のシカゴなどを休止していた路線で復便する。成田空港での国際線第1ビルへの移転費用はかさむが、これらをこなして前期に続き最高益更新も。会社側計画の売上高1兆4200億円、営業利益760億円は、やや過小。同社は為替レートを120円、燃油価格(シンガポールケロシン)を74ドルで見ている。
 スカイマークは、関空はじめ4路線の赤字路線撤退で収益は改善するが、福岡線は北九州空港の開港で顧客が流出、千歳線もエア・ドゥ<非上場>に及ばず、搭乗率の想定は若干楽観的。会社予想の売上高458億円、営業利益12.9億円は下振れもある。同社は為替レートを116円、原油価格(ドバイ)を64ドルと想定している。
 懸念材料は燃油価格の高騰だ。日本航空、全日空ともに燃油は75%をヘッジしているが、足元では10ドルほど高く、このまま高止まりすれば減益要因となる。しかし、需要か昨年よりも好調で、今期よりも収益は改善する方向だ。
【山本亜由子記者】


(株)東洋経済新報社 会社四季報速報プラス編集部

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