イタリア、スペインへ…飛び火はどこまで? ソブリン危機“伝播”の確率

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ギリシャの本格的なデフォルト懸念が高まる中、市場の不安はイタリア、スペインにまで伝播している。両国はユーロ圏ではそれぞれ第3位、4位の経済大国。ギリシャやアイルランド、ポルトガルとは違い、欧州連合(EU)と国際通貨基金(IMF)の金融支援は受けていない。国債発行残高は、スペインが約5000億ユーロで、支援を受けた3カ国合計に匹敵。イタリアはさらにその3倍の1・5兆ユーロ強に上る。

両国の10年物国債利回りは8月初頭に6%を突破、市場での国債発行が困難となる7%台に近づいた。慌てた欧州中央銀行(ECB)は、8月8日から両国の国債買い入れに動き、何とか5%台後半に押し戻しているのが現状だ。

イタリア、スペインの国債利回り上昇については、両国の比較的良好な財政状態からは説明のつかない“根拠なき不安”との見方も多い。

イタリア・スペインへの危機波及は“根拠なき不安”か?

イタリアの2010年の財政赤字は対GDP比4・5%。ギリシャの10・4%やポルトガルの9・2%はもちろん、フランスの7・0%、EU平均の6・0%も下回る。11年も3・9%が見込まれ、EU平均の4・2%より低い。8月14日には、13年までの財政均衡を目指す約540億ユーロ規模の追加緊縮法案が議会で可決された。
 
 市場が不安視するのは、イタリアの政府債務残高の対GDP比が高いこと。11年予想で121%、EU内ではギリシャの152%に次ぐ高さだ。ただ、フローの財政赤字が大きくないため、債務残高が悪化するピッチは比較的遅い。


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