正念場の欧州金融機関、デフォルトならリーマン・ショックの再来に?

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欧州債務問題の高まりから、財政不安国の債券を持つ欧州金融機関への懸念が増幅している。CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)のスプレッドはリーマンショックを大幅に上回る水準。中でも、フランスの大手銀行は半ば標的とされており、株価は直近の3カ月で約半値になった。

もともと、7月15日に発表されたストレステストの結果として各銀行が持つ国別の詳細な国債保有額が開示され、横並び比較が可能になったことが大きい。英国やドイツと比べてもフランス系の銀行ではギリシャ国債保有が多い。

9月21日に決まったギリシャへの追加支援策では、債務交換など民間債権者(主に欧州金融機関)の負担が盛り込まれた。8月下旬には、IMF(国際通貨基金)のラガルド専務理事が欧州の銀行のソブリンリスク対応について、「強制的な資本増強が最も効果的」と米国の講演で言及し、健全性への疑念も深まった。

ただ、みずほ総合研究所金融調査部の新形敦・上席主任研究員の試算によると、フランスの銀行の場合、PIIGS(ポルトガル、イタリア、アイルランド、ギリシャ、スペイン)向け国債の7割が毀損しても、コアTier1と呼ばれる中核的自己資本比率が6%(ストレステストは5%以上の維持が要件)を割らないという。
 
 「保有額はそう大きくなく、損失吸収力にそうとう余裕がある」(新形氏)。12日の仏ソシエテ・ジェネラルの発表でも、PIIGSの国債はグループのバランスシートの1%未満にすぎず、同諸国向けエクスポージャー(保有資産)は「問題ではない」としている。


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