「正しい保険」は保険会社の"賢い社員"に学べ プロが入っている保険はどういうものなのか

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こうした保険をよくわかっている人たちの入っている保険が「団体定期保険」です。

この保険は名前に「団体」が付いているとおり、団体に所属する人たちのための保険です。わが国にあって、もっともお勧めできる優れものです。保険営業員による募集コストを省き、職場内の回覧などによる加入を前提に作られているので、その分、保険料が安く抑えられています。しかも通常は、年1回、配当金が出るので、実質的に負担する保険料レベルでは米国の保険商品並みの安さとなります。

加入の際の健康診断はなく、告知だけの手続きで簡単に済みます。これほど安くて、便利で、わかりやすい保険はほかに見当たりません。だから保険会社の「わかっている」社員の多くが入っています。中には、「生命保険は団体定期保険しか入っていない。それだけで十分だ」という強者もいます。

保険会社向けの限定商品ではない

ところでこの保険は、なにも保険会社従業員向けの限定商品ではありません。日本の多くの企業や団体が福利厚生の一環として導入しています。企業、団体によってネーミングはさまざまですが、「グループ保険」とか「団体定期Bグループ」などと呼ばれています。多くの大企業、中堅企業、諸団体が導入している保険です。

死亡保障が必要な人には、強くお勧めできる商品です。シンプルで保険料の安いのがこの商品の魅力です。そして加入人数が多いほどスケールメリットが効き、いっそう保険料が安くなるのもこの商品の特徴です。

読者の皆さんには、まずは自分の働いている企業や団体がこの保険を導入しているかどうか確認することをお勧めします。わからなければ、厚生担当の部署に聞けばすぐに教えてもらえます。せっかく団体定期を実施しているのに、この商品のよさを知らずに、保険料の高い別の保険に入ってしまっている人が大勢見受けられます。これはもったいない話です。

保険会社社員の賢い保険利用法を、ぜひ参考にされたらいいと思います。

橋爪 健人 保険を知り尽くした男

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はしづめたけと / Taketo Hashizume

1974年東北大学卒、1984年米国デューク大学修士。日本生命保険に入社後、ホールセール企画部門、米国留学、法人営業部門を経て米国日本生命副社長。帰国後、損保会社出向、ジャパン・アフィニティ(保険ブローカー会社)代表取締役を経て2004年独立。企業向け保険ビジネスのコンサルタントとして活動。著書に『日本人が保険で大損する仕組み』(日本経済新聞出版社)

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