ANA幹部「スカイマーク再生、速さに自信」

デルタよりも「再生スピードが速い」

 7月26日、スカイマークの再生計画案をめぐり、ANAホールディングスの長峯豊之取締役は同じ羽田空港を拠点とする自社の優位性を強調した。写真はスカイマークの旅客機、2014年11月撮影(2015年 ロイター/Toru Hanai)

[東京 26日 ロイター] - 民事再生手続き中のスカイマーク<SKALF.PK>の再生計画案をめぐり、米デルタ航空<DAL.N>と支援企業の座を争っているANAホールディングス<9202.T>の長峯豊之取締役はロイターのインタビューで、スカイマークと同じ羽田空港を拠点とする自社の優位性を強調した。

先に名乗りを上げてすでに支援に動き出していることもあり、デルタよりも「再生スピードが速い」との自信を示した。

長峯氏はスカイマークとは「ANA傘下のLCC(格安航空会社)で使っているようなシンプルなシステムを共有化できないか議論を始めている」と明かし、デルタ同様、ANAも予約・収益管理システムの提案が可能とした。共同運航や機材整備での支援では、同じ羽田空港を主基地とするANAのほうが「即効性がある」と説明。特に整備面では、その理由として国土交通省との調整能力の高さを挙げた。

また、ANAはすでに締結した契約の中で、スカイマークが守りたい「独立性維持の仕組みを法的に作っている」と指摘。デルタが将来的にスカイマークをアジア戦略に活用したい意向を示したことに触れ、業界最大手のデルタが支援すれば、スカイマークが「デルタ・ジャパン」と化し、逆に「スカイマークらしさ」が失われかねないのではとの懸念を示した。

8月5日の債権者集会では、ANA支援のスカイマーク案と、デルタ支援を軸にした最大債権者の米リース大手イントレピッド・アビエーション案の2つが投票にかけられる。可決には「議決権総額の2分の1以上」と「投票債権者の頭数の過半数」を同時に得る必要がある。エアバス<AIR.PA>など大口債権者4社のうちロールス・ロイス<RR.L>と米リース大手CITが議決権を分割しており、両案に賛成票を投じる可能性もある中、票の取り込み合戦は一段と過熱している。

インタビューは24日に実施した。主なやりとりは以下の通り。

――ANA支援の優位性は。

「1月末の民事再生申し立てから半年経つ。デルタ(7月15日に支援表明)は債権者集会で可決後に契約交渉など関係者間の詳細な調整を始めることになるだろう。一番大事なのは一刻も早く再生に向けて具体的な行動を起こし、安定軌道に経営を乗せること。利用者、債権者にとってもそれが必要ではないか。ANAの方がスピードの面からも優位性がある」。

「5月に約1カ月かけた整備部門の調査を踏まえて6月初めからスタッフ5名を派遣しており、課題や解決策などをリポート済みだ。可決されれば、さらに5名増員する予定で、更新手続きや書類上での国交省対応の遅れで駐機している飛行機を早くフライトできるようにしたい」

「ANAには整備士など国交省航空局認定の資格保有者がすでにたくさんいる。デルタも中途採用は可能だが、すぐは人数が限られる。(機材に直接触れる整備ではなく)国交省との調整や同省のルール下で手続きを円滑に進める整備サポートについて、デルタがすぐに対応するのは難しいと思う」

――ANA支援で寡占が進み、運賃値上げを懸念する声もある。

「(スカイマークの)経営破綻の一因には運賃政策のミスがあった。基礎需要を埋めるときはもっと安くなることもあると思うし、需要が高いときには高く設定しないと経営は成り立たない。これは運賃の自由競争に逆行することではない」

――ANA支援ではグローバル化に逆行するとの見方もある。

「まずは確実に再建して利用者、債権者の期待に応えることが民事再生の大義。デルタが言う『日本市場にグローバル化の息吹を吹き込む』といったような議論は、安定経営になった後にあって然るべきだが、今はその前にもっとやることがあるのではないか」

――債権者投票での勝算は。

「エアバスには昨年3月、今年1月に40機近く発注している。2025年に向けて機材を増やすし、200機を超えると年間で10機程度は更新機材を投入しないといけないので、そういった可能性も期待して頂いており、そうした交渉の中で強い手ごたえを感じている」

「ANAはB787型機を83機発注している最大のユーザーで、その787型機のエンジンはすべてロールス・ロイス製。われわれはあえて選んでおり、ロールス・ロイスの皆さまもそこは十分認識しているとおっしゃってくれている。CITは日本市場で取引がなく、本件を機にANAとなんらかの形できっかけづくりをして日本市場に橋頭保を作りたいということで、将来を見据えた話もしている。デルタにまったく敵わないという感じではない」

「債権者全体200人弱の中で半分強がANAと取引のある小口債権者。(ANAの)片野坂真哉社長の手紙も送り、個別に電話もし、必要に応じて訪問して利点を説明した。手ごたえは結構ある」

 

(白木真紀、志田義寧、ティム・ケリー 編集:北松克朗)

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