混迷スカイマーク再建、「主導権争い」の内実 再生手続きは日米航空大手も巻き込む展開に

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仮に、どちらかの案が2つの要件を満たせば、その案が再生計画として認可され、11月末までに基本弁済が実施される予定だ。

だが、いずれの案も2つの要件を満たせなければ、否決となる。その場合は、2カ月以内にあらためて債権者集会を開き、決議投票をやり直す。繰り延べの回数に法的な制限はないが、通常は1回、多くても2回というのが複数の弁護士の見解だ。

両案否決が続くとどうなる?

イントレピッドのプレイCEOは、どこで矛を収めるのか(撮影:大澤誠)

3度目の債権者集会でも両案が否決されれば、どうなるのか。可能性が高いのは、裁判所によるスカイマークの民事再生手続き廃止だ。そして、その先にある現実的な選択肢は、会社更生法、もしくは破産法に基づく法的整理手続きへの移行となる。

会社更生は民事再生に比べて再建に長期間を要する。その場合に懸念されるのは、経営と運航に対する不安が利用者に広まり、客足が落ち、財務がさらに悪化する事態だ。

一方、破産は管財人の下で事業や資産の売却が進み、比較的短期間で弁済を進められる。が、事業売却の過程で、運航の混乱や利用者の乗り控えが起こる懸念がある。そうなれば、事業や資産の価値が損なわれ、債権者への弁済に支障が生じる可能性もある。

結局、現行の2案のうち、どちらかを早期に実行に移すのが最も有効なのだ。はたして両陣営は妥協点を見いだすことができるか。

「週刊東洋経済」2015年7月25日号<21日発売>「核心リポート04」を転載)

中川 雅博 東洋経済 記者

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なかがわ まさひろ / Masahiro Nakagawa

神奈川県生まれ。東京外国語大学外国語学部英語専攻卒。在学中にアメリカ・カリフォルニア大学サンディエゴ校に留学。2012年、東洋経済新報社入社。担当領域はIT・ネット、広告、スタートアップ。グーグルやアマゾン、マイクロソフトなど海外企業も取材。これまでの担当業界は航空、自動車、ロボット、工作機械など。長めの休暇が取れるたびに、友人が住む海外の国を旅するのが趣味。宇多田ヒカルの音楽をこよなく愛する。

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杉本 りうこ フリージャーナリスト

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すぎもと りうこ / Ryuko Sugimoto

兵庫県神戸市出身。北海道新聞社記者を経て中国に留学。その後、東洋経済新報社、ダイヤモンド社、NewsPicksを経て2023年12月に独立。

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