相続特集

今から準備するわが家の相続

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目先の節税対策だけでなく将来を見据えた取り組みを

― 相続税を節税するために、タワーマンションを購入して賃貸することや、土地にアパートや賃貸マンションを建築する建物賃貸事業が注目されています。その理由はどこにあるのでしょうか。

内野 いずれも時価と評価額が離れることにより相続税評価を減額できることが特徴です。相続税の計算は、相続財産に対する相続税評価額を基準に算出されます。現預金の評価額はそのままですが、不動産は土地は路線価、建物は固定資産税評価額で評価されます。

一般に、路線価、固定資産税評価額ともに時価よりも評価が低くなります。中でもタワーマンションは、1戸当たりの土地の持ち分が小さいため、評価額が低くなります。同様に、土地にアパートや賃貸マンションを建築する建物賃貸事業についても、一定の割合を土地や建物の評価額から控除できるため、相続財産の総額から減額できるわけです。マンションの購入やアパートの建築にあたって借入金を利用すれば、相続財産から差し引くこともできます。

しかし、タワーマンションも建物賃貸事業も、誰にでもどの物件でもメリットがあるというわけではありません。マンションの価格は面積だけではなく、立地や眺望など総合的な人気で決まり変動します。一時的な節税効果はあっても、それ以上に価格が下落し、ローンだけが残ったというのでは本末転倒です。また、建物賃貸事業についても長年にわたり入居者に選ばれ、一定の収入がきちんと確保できることが大切です。

― 目先の節税対策だけでなく、将来を見据え、配偶者や子どもなどに残すことが大切というわけですね。事業承継のケースを含め、相続に失敗しないためには、何から取り組むべきですか。

内野 まずは、個人の相続の場合も、あるいは事業承継の場合も、どれだけの資産があり、相続するとすればどれだけの相続税を支払わなければならなくなるか、棚卸しをし、可視化することです。銀行や証券会社などに複数の口座がある場合は、一覧表などにまとめておくようにします。

不動産についても同様ですが、借地権が設定されている土地の場合、なかなか売却できないものです。貸主の方と相談し、土地を購入してもらったり、底地を譲渡するといったことも検討すべきでしょう。また、古屋や使っていない倉庫、資材置き場などの遊休地は、維持管理費や固定資産税がかかります。活用方法を見直すことも必要です。

― 相続においては遺産分割がもめ事になりがちです。トラブルを防ぐためには、どのような点に心掛けるとよいのでしょうか。

内野 大切なのは被相続人(親など)が、相続人(配偶者や子どもなど)に対して、早い段階から自分の考えを伝え、話し合っておくことです。

たとえば、財産が自宅ぐらいしかない場合、「長男には家を相続させるが、次男には現金を渡す」といったことを生前に相談し合って決めて遺言書に残しておけば、後からもめることはありません。

ここで重要なのは時間です。節税対策についても、数年~10年程度前から始めれば、さまざまなプランを立てることができます。年間110万円まで非課税の暦年贈与についても、長年続ければ大きな額を次世代に贈与することができます。逆に、親が亡くなってからだと、選択肢も限られます。

先送りにせず、早い段階から親子で相続について話し合い、「小規模宅地等の特例」の適用についても申告要件がありますので、必要に応じて税理士などの専門家に相談するとよいでしょう。

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