特有の時間スケールで地球は刻々変動する--『地球の中心で何が起こっているのか』を書いた巽好幸氏(海洋研究開発機構地球内部ダイナミクス領域プログラムディレクター)に聞く

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地球内部の熱は輻射(ふくしゃ)ではなく、対流で伝わる。輻射は物がいっぱい詰まっているところでは起こらない。対流と伝導では、マントルの場合は対流がずっと起こりやすい。

ステーキやバーベキューを焼く「溶岩プレート」を思い出して、疑問に思う人がいるかもしれない。確かにあれは熱伝導。ただし厚さが薄い。マントルは1000キロメートル以上ある。その性質から対流のほうが簡単なのだ。それも年間数センチメートルほど対流している。地球の歴史は46億年だから、1年に1センチメートル動くとすれば、今までに周辺部なら4万キロメートル以上動いたことになる。4万キロメートルとすれば地球の円周と同じだ。

──マントル対流がプレート・テクトニクス(プレート理論)のベース?

地球の表層(地殻)は十数枚の剛体の岩盤で覆われていて、これらのプレートの運動と相互作用によって、いろいろな現象が起こる。プレートの底は900~1000℃の等温帯になっている。プレート・テクトニクスはマントルの熱を伝えるための現象に基づいている。

──なぜ地球は46億歳とわかるのですか。

地球ができた年代は本来地球上の石の年代で計る。当初のマグマの海から冷えて結晶化して初めて石ができる。しかしそれでは、マグマの海が固まった年代しかわからない。それは43億年前。46億歳は、地球型惑星の原材料の「化石」といえる小惑星帯から飛んでくる隕石で計る。その43億年とのギャップが、地球がマグマの海として溶けていた最初の期間を示す。形成年代や地球の組成はどうしても隕石で調べることになる。

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