松下、YKK、大震災 街の電器屋は逆境で育つ--ケーズホールディングス会長 加藤修一《中》

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 だが、5円セールはあっけなく終焉を迎える。過度な安売りを公正取引委員会が問題視し、是正へと動きだしたのだ。「2社だけだと、おかしなことをやっていると思われる。でも3社に広がれば、公取も放っておくはずがない」という加藤の読みが当たったのだ。

当時、コジマの売上高はケーズの3倍あった。「コジマさんにやられた分の半分も仕返しできなかった。でも安定成長が続いていたので、不安はなかった」。それでもヤマダが大型店で攻勢をかけたときには、「ちょっときついな、と思った」。

店舗面積が500平方メートルと3000平方メートルとでは、集客力も店舗運営の効率化もまるで違う。ヤマダは大型店をテコに急速にコジマを追い上げ、02年に業界トップの座へ上り詰めた。やがて売上高2兆円を突破し、わが世の春を謳歌。全国出店へとアクセルを踏み込み始めた。(=敬称略= 下に続く)


かとう・しゅういち
業界では「理詰めで考える経営者」と呼ばれる。効率を追求したPOSシステムを導入した途端、業績が回復した買収子会社は多い。「ポイントカードでお客様を縛り付けるのは親切じゃない」と現金値引きにこだわるが、これも効率化の一環か。最も尊敬する経営者である父は、94歳の今も大きな存在だ。

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(本誌:前田佳子 撮影:風間仁一郎 週刊東洋経済2011年9月10日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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