三陽商会はコートなど重衣料で機能性商品を強化。ウォームビズ関連に力を入れ、震災による落ち込みの挽回目指す

三陽商会はコートなど重衣料で機能性商品を強化。ウォームビズ関連に力を入れ、震災による落ち込みの挽回目指す

百貨店中心に衣料品を展開するアパレル大手、三陽商会は、冬商戦に向け機能性や多用途(マルチウェイ)服飾雑貨を拡大し、ウォームビズ需要の取り込みを図る。強みのコートやスーツなどの重衣料に機能性素材を活用、ブランド力に加え機能面も訴求することで客層も広げ、3月の東日本大震災後の落ち込みの穴埋めを目指す。

柱となるのは、吸湿発熱綿「マックスサーモ」を中綿に使用したコートだ。日本バイリーンと東洋紡が共同開発した同素材の1年間独占使用権を取得。紳士服、婦人服合わせて16ブランドで活用する。ほかに、蓄熱保温素材のライナーをつけたスーツや、スポーツ衣料やNASA(米航空宇宙局)でも活用されている温度調整機能の高い素材を活用したレディスインナーも新たに投入した。

トレンドファッションを軸とする百貨店ブランドでは、機能性衣料はファッション性に乏しいイメージを持たれる点で敬遠されがちだ。三陽商会も、店頭での大々的なプロモーションは行わない方針だが、販売員による商品説明や、一部店頭では店内広告の掲示なども実施し浸透を図る。他の百貨店ブランドと比較し、機能性の打ち出しで差別化できれば売り上げを伸ばせる要素になりえそうだ。

三陽商会がウォームビズ商品に力を入れた背景には、夏場のクールビズ商戦で売り上げ拡大が図れたという手応えがある。単に売り上げが上がっただけでなく、7月などの値引きセール時期でも「クールビズ商品はプロパー価格(値引き前の価格)で販売できた」(同社)ことで採算改善につながった。このことも、機能性衣料強化へ戦略の舵を切った理由だ。

また、購買意欲促進に向けて、昨シーズンもヒットした、1着で複数の着こなしができるマルチウェイシリーズも拡大展開する。前シーズンにライナー単独でも取り外して着られるコートなどの販売が好調だったことから、今年はスヌード(ストールの一種)やワンピースとしても着回せるニットマフラー(写真)や、ベストやカーディガンとしても活用できるストールなど、服飾雑貨にも拡大、前10年12月期の成功事例の水平展開を進める。

ウォームビズ需要の拡大が予想される中、ベストやカーディガンなどは同業他社や衣料専門店、さらにスーツ専門店でも展開を強化している。ただ、現状では多用途機能を持つ商品は少なく、また複数の着こなしをアピールできる点は、販売員から売りやすいとの声も大きく、ヒット商品となる可能性も秘めている。

この冬商戦に向け、三陽商会ではコート、スーツから服飾雑貨に至るまで、ウォームビズ関連と銘打った商品を前シーズンの3割増と拡大投入し、増販を狙う。単価が高く利幅も厚い冬商戦の取り組みで売り上げ拡大ができれば、震災で苦戦した春商戦の挽回にもつながるだろう。

「東洋経済オンライン」は、現状では「会社四季報」秋号(9月12日発売)の予想を変えていないが、冬商戦の状況によっては、減益幅を圧縮できる可能性もありそうだ。

(鈴木良英 =東洋経済オンライン)


《東洋経済・最新業績予想》
(百万円)    売 上  営業利益 経常利益  当期利益
連本2010.12  112,057 2,446 2,067 750
連本2011.12予 109,200 1,700 1,300 400
連本2012.12予 114,000 2,900 2,500 1,000
連中2011.06  47,709 -327 -594 -1,101
連中2012.06予 52,500 600 400 150
-----------------------------------------------------------
         1株益¥ 1株配¥
連本2010.12  6.0 12 
連本2011.12予 3.2 12 
連本2012.12予 8.0 12 
連中2011.06  -8.8 0 
連中2012.06予 1.2 0 
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