セミナーレポート

JAL、アシックスにみる
新たな価値創造を目指した業務改革

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事例講演Ⅰ
JALグループ企業理念実現に向けた
システムアプローチのご紹介

日本航空
IT企画本部IT推進企画部部長
田中 祐司

京セラ式の部門別採算管理「アメーバ経営」を取り入れ、再生した日本航空の田中祐司氏には苦い経験がある。2002年に経営企画部にいた時にも同様の採算管理制度導入を図ったが、成功しなかったことだ。破綻後京セラから来た経営幹部から「発想は良かったが、魂が入っていなかった」と指摘された。今は「魂であるJALフィロソフィを全うする」との思いを胸に刻んでいる。

破綻後に掲げられたJALグループ企業理念の一つが「お客様に最高のサービスを提供します」だ。そこで、まず社内での情報共有強化に取り組んだ。ドリーム・アーツ社のグループウェア「INSUITE(インスイート)」を使い、企業理念、運航情報などからなるイントラポータルを構築。また、タブレット端末を使って、機内食の盛りつけ方を動画でわかりやすく説明するなど、ノウハウ共有も充実させた。

もう一つ、田中氏が大事にしているのがJALフィロソフィの一項目である「現場主義に徹する」だ。IT部門がワークショップなどを通じて現場と直接やり取りし、その悩みや課題を整理。ユーザーエクスペリエンスを起点にして「現場の社員がお客様に最高のサービスを提供するためには何が必要か」を追求した。そこから生まれたのが、各便ごとに運航状況の最新情報をチャットの要領で共有するコミュニケーションツールだ。片手で操作できるスマートフォンのアプリにして、現場での使い勝手を高めた。

開発にあたっては、最初に最小限の機能に絞ったツールを作り、使いながら機能を追加するリーン・アジャイル型の開発手法を導入した。田中氏は「JALグループ企業理念の実現には、ユーザーエクスペリエンスで現場を取り込み、リーン・アジャイルで迅速に展開することが重要と考えています」と語った。

事例講演Ⅱ
グローバル企業への変革の歩み
コラボレーション基盤改革

アシックス
グローバルIT統括部グローバル基盤 チームマネジャー
中西 元司

戦後間もない1949年に鬼塚株式会社として設立したアシックスは、インターブランドが評価する日本のベストグローバルブランド上位にランクされ、海外売上比率は80%を超えるグローバル企業に成長。2015年12月に売上高4230億円を目指している。

同社グローバルIT統括部の中西元司氏は「IT部門もビジネスに役立つベストなソリューションを提供していかなくてはなりません」とその意味を説明する。

ビジネス理解に基づくITサービスをグローバルに提供するため、各組織・世界をつなぐコラボレーションプラットフォームの見直しは、同社にとって喫緊の課題だった。そこで同部はまず、メールやスケジュールなどのツールを統一した。

さらに、日本で1990年代から稼働していた旧システムによって7000以上も乱立したデータベースの整理に着手するため、ドリーム・アーツ製品導入による新しい情報基盤構築を決断したのだ。

今年3月のプロジェクト開始後、機密保持強化の観点から経営陣向けデータベース、報告書ワークフローから新システムに移行。出退社情報管理も移したことで、6月までには海外出向者らを除く日本のほぼ全社員に新システムへのログインをしてもらうことに成功した。今後は、データベースを2500まで削減する計画だ。

中西氏は「現場のキーマンの協力を得るために、全国にスタッフを派遣して、現場主義ワークショップを開催してきました。システム変更にはさまざまな意見がありますが、機能に関する前向きな要望も増えています」と手応えを語り、「早期の旧システムの停止を目指したい」と考えを示した。

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