電気料金の大幅上昇抑制へ柔軟な見直しと規制緩和を

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当面の注目点は、これから決める買い取り価格と買い取り期間だ。これらを決めるのは経済産業相だが、恣意性を排除するため、新設する第三者委員会が妥当性を評価。5人の委員は国会の同意人事で選ばれ、価格の算定根拠も国会に報告する。

政府の試算では、この制度導入による電気料金の負担増は、20年度に日本全体で4900億円、標準家庭で月150円となる。海江田万里・前経済産業相は、「(この負担増を超えないように)制度を運用する」と明言している。制度導入により、発電量の9%(水力含む)程度にすぎない再生エネの比率を、20年度には13~14%まで上昇させる計画だ。

政府試算の前提は、太陽光以外の買い取り価格が1キロワット時15円、太陽光が同30円台後半とされる。この買い取り価格は、再生エネにすでに参入している発電事業者の現状のコストから見てそれほど有利とはいえず、普及促進には疑問が残る。

FITが実施された場合、「負担増は、20年度で4900億円どころでは済まない」(澤昭裕・21世紀政策研究所研究主幹)といった見方も多い。政府試算には、バックアップ電源整備や系統安定化に要するコストが含まれていないからだ。

天候に左右される風力や太陽光は出力が不安定で、設備利用率は風力で20%強、太陽光はその半分程度にとどまる。このため、風力や太陽光の導入を進めるには、発電が停止して電力が不足する場合や、逆に電力が余ってしまう場合に備えて、さまざまな対策が必要になる。

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