コマツはここまでやる! 中国建機市場トップへの執念

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中国に鉄の忠誠組織 地場中小もコマツを選ぶ

コマツは9月、サプライヤーメーカーの組織「コマツみどり会」を中国で発足させる。米欧に続き海外三つ目のみどり会。約60社の加盟を見込み、うち半数は中国の地場企業だ。国内のみどり会は、コマツの経営戦略に合わせて夫唱婦随で動く「鉄のロイヤルティ」の組織。乱戦化した市場では、欠かすことのできない兵站チームである。これを日中企業の別なく運営していくのだ。

会長はピン部品メーカー・済寧鋭博工程機械の汪保忠社長。同社はコマツ向け販売が4割強を占めるが、残る6割弱は三一を含む地場建機メーカー向けだ。それでも「顧客にあえて順位をつけるならコマツが最優先。市場が底打ちすれば、まずコマツ向けの生産に手を着ける」と汪社長は言う。

最大顧客だから当然と言ってしまえばそれまで。だが、汪社長はコマツに寄せる格別の思いを朴訥(ぼくとつ)とした口調で語る。「今回の減産を受け、コマツは毎月経営状況のヒアリングに来てくれる。資金繰りや過剰在庫に困っていないかと。問題があればもちろん解決法を教えてくれる」。また平時も生産技術指導だけではなく、人材育成など経営全般にかかわる研修を開いてくれるという。

成長著しい中国では、カネをもたらす顧客を探すのは実はそう難しくない。手厚い接待を絡めた営業攻勢がモノを言う文化だ。ただ、カネで得た取引先は「もっといい企業になるにはどうしたらよいか」を教えてくれることはない。実は中国の中小企業がカネと同じぐらい渇望しているのは、自社を継続成長させる経営の知恵だ。この望みを満たすことが、カネで買えない紐帯(ちゅうたい)になる。

日本から進出する中小企業に対しても、ひな鳥を育むような支援をする。自動車メーカーの系列と異なり、コマツは国内ではサプライヤーに出資はしない。だが中国に進出した中小企業の現地法人には、最大3割出資することが珍しくない。

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