日本の証券業界の見通しは引き続きネガティブ《ムーディーズの業界分析》

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 こうした背景から、格付け対象の証券会社は現在、コスト削減を急速に進めている。10年度に純損失を計上した証券会社は、余剰機能の削減、レイオフ、人員の配置転換による国内業務の整理など、大幅なリストラ策を実施している。そうした施策は最終的にコスト構造の改善につながるとみられるものの、コスト削減だけでは十分に収益性を確保できない可能性があることが懸念される。

図1:純営業収益(主要5社の合計)

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図2:純利益(主要5社の合計)

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国内株式市場は回復力が弱く、成長機会も限定的であることから、格付け対象の日本の証券会社はいずれも海外業務(特にアジアでの業務)の拡大を模索している。アジアにおける収益成長余力は中長期的に大きいが、競争は熾烈であり、日本の証券会社が安定的で十分な収入を確保し、強固な海外営業基盤を構築する能力については疑問が残る。

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