民主党が考える「安保法案の問題点」とは? 16日の衆院本会議での岡田代表演説全文

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自民党は、その憲法改正草案において、自衛権を何ら制約することなく明記しています。限定的な集団的自衛権行使を認めた今回の安全保障関連法案は単なる一里塚に過ぎず、安倍総理、自民党が目指しているのは、集団的自衛権を限定なく行使できる国です。

他方、私たち民主党が目指している日本は、憲法の平和主義の理念を活かし、海外での武力行使には慎重である国です。もちろん、国民の命と平和な暮らしを守るための個別的自衛権の行使は必要です。

「普通に海外で武力行使ができる国」になるのか

いま国民の皆さんの前には、この二つの道があります。安全保障関連法案の強行採決を許せば、さしたる議論もないまま、自民党が目指す「普通に海外で武力行使ができる国」へと大きく踏み出すことになる。そういう強い危機感を、国民の皆さんにも共有していただきたいと思います。

メディアの調査によれば、この2カ月間の特別委員会での議論の中で、政府の安全保障関連法案に反対する国民の声はより高まっています。総理や閣僚が答弁を重ねれば重ねるほど、国民の反対や疑問が増え続けるという、いままでになかったことが起きているのです。安倍総理は、国民の理解を得ることに見事に失敗したのです。

いま安倍総理がなすべきことは、政府案が国民の理解を得ることができなかったことを率直に認め、直ちに撤回することです。安倍総理にとって、それしか道はありません。

与党議員の皆さん、「あのとき賛成すべきではなかった」と後から思っても、もう遅いのです。どのような国を目指すのかを議論するには、すべてがあまりにも不十分です。本当に有権者、国民の皆さんに対して、強行採決を説明できますか。この議場の与党議員の皆さん一人ひとりが、もう一度考え直していただくことを強く期待し、私の反対討論を終わります。
 

東洋経済オンライン編集部

ベテランから若手まで個性的な部員がそろう編集部。編集作業が中心だが、もちろん取材もこなします(画像はイメージです)

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