福島の病院を苦しめる原発事故補償の難航と人材流出、手掛かりすらない再建への道

福島の病院を苦しめる原発事故補償の難航と人材流出、手掛かりすらない再建への道

「東京電力が近く始める『本補償』(賠償)の内容は極めて不十分だが、もらえるものをもらっておかないと職員への退職金の支払いもできない。非常に不本意だが、本補償の話には乗らざるをえない」

大規模な放射能漏れ事故を起こした福島第一原子力発電所から、約18キロメートルの距離にある小高赤坂病院(福島県南相馬市、病床数104床)。渡辺瑞也院長が苦渋の表情を浮かべて語る。

立ち入り禁止の警戒区域にある同病院は、事故直後に入院患者全員を県内外の病院に転院させた後、診療を休止。職員は、雇用保険の特例措置で失業手当を受け取りながら、休職を余儀なくされている。

だが、特例措置は早晩終わる見通しで、早い人では10月中旬にも失業手当の受給が打ち切られる。その場合、職員自身が東電から補償金を受け取って生活費に充てるか、病院を辞めて退職金を受け取るしかない。退職という道を選択するには、東電が提示した補償内容を病院が受け入れることが前提となる。

穴だらけの「本補償」 身動きも取れない

東電は8月30日、原発事故で被害を被った住民や企業、病院などへの補償金の支払い方針を発表。「9月中に本補償の受け付けを開始し、10月から支払いを始めたい」(廣瀬直己常務取締役)としている。

これまで東電は、中小企業向けに250万円を上限に「仮払い」を行ってきたが、病院などの医療法人は当初、対象外だった。その後、強い要望を受けて7月末に医療法人へも仮払いを始めたものの、上限額は中小企業と同額にとどめられていた。それゆえ、原発事故以来、半年近くも収入が途絶えていた多くの病院にとって、10月に始まる本補償は初めてのまとまった収入になる。

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