もはや「米中サイバー戦争」は避けられない? 米国防総省現役のサイバー専門家が警告

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もちろん、こうした状況から日本が聖域でいられるわけがないが、実際に日本はどうなっているのか。これがまだ「寒い」状況なのだ。

日本でのサイバー攻撃は年間250億もの規模に

2005年における日本でのサイバー攻撃数(実害有のケースだけでなく、無害も含む)は1年で約3億3000万であった。それが2013年には128億回となり、驚くべきこと昨年の2014年にはそのほぼ2倍の250億回強にまで激増している。

現在の状況を分かりやすくいうと、毎秒およそ790回ものサイバー攻撃が日本で起こっているという数になる。この背景を考えても、現状が楽観視できないことはよくわかるだろう。

まさに日本のサイバー戦争対策は、岐路に立っているといってよいだろう。2013年日本とアメリカは、サイバー防衛政策に関するワーキンググループ(the U.S.-Japan Cyber Defense Policy Working Group)を発足させた。

これは両国に影響を及ぼしているサイバーアタック増加への対応、そして日本のサイバー体制強化などを目的に、自衛隊および、米国防総省のサイバースペシャリスト6000人からなるチームが連携し、協力を深めるために組織化されたものだ。

続く2014年10月末にはサイバーセキュリティ基本法が可決され、官房長官が管轄するサイバーセキュリティ戦略本部も設置された。明確な指揮司令組織が設立されたことは、サイバー空間という特異な場で起こる問題対応強化するには、非常に望ましい施策である。これに伴い、公だけでなく、民間における日本のサイバーセキュリティ強化の流れも加速することが期待できる。

だが日本が行うべき対応は、まだ不十分だ。中でも急務というべきが、サイバーセキュリティ専門の人材育成である。現在人材不足数は8万人とも10万人とも言われているが、その要因として、専門人材育成機関の不足があげられる。

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