積水らの定額リフォームは「儲からない」? アマゾンとの取引開始で浮上する課題

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左から、会見で手を取り合うアマゾンのチャン社長、大和ハウスリフォームの杉浦純一社長、積水ハウスの阿部俊則社長ら。もくろみは成功するか(撮影:今井康一)

価格以外のアピールも課題になりそうだ。リフォーム各社が扱う基本商材は、たとえばTOTOやLIXIL、YKK APといった同じメーカーの商品が実は多い。パッケージ価格で差が付くとすれば、資材値引きと工事費削減によるものと考えられる。

たとえば東京の戸建てキッチンのリフォームで、同じLIXILの「シエラ」という製品を選んだ場合、積水ハウスは79万9000円。対する大和ハウスは82万円。一見すると積水ハウスの方がお買い得のようにみえるが、大和ハウスは床下検査を付けており、単純な価格比較は難しい。

だが現在のアマゾンの検索画面で順次、絞り込みをしていくと、どうしても予算の要素は大きくなってしまう。チャン社長が「価格面での競争をしてこなかったから、これだけたくさんのリフォーム業者、ハウスメーカーがあふれているのではないですか」と訴えるなか、リフォーム各社としては、どのようなサービスが付加されているのか、消費者に理解してもらえる仕組みづくりが必要だろう。

「何事もこれから」

支払いに関しての懸念もある。現在、リフォームストアの支払いはクレジットカードのみの対応だが、クレジットカードには通常、限度額が設定されている。平均額は定かでないが、初期設定は30万円や50万円という場合が多いようだ。

アマゾンによると、現時点ではクレジット払いで何も問題は起きてないため、仕組みを変える必要があるとは考えていないという。だがたとえばキッチンのリフォームは最低予算が67万3000円。なかには100万円以上する商品もあり、最悪の場合、限度額が壁になって着工にいたらない可能性も考えられる。

「仕組み自体が新しいので、何事もこれから」(大和ハウス)。目的を達するために、乗り越えるべき課題は多そうだ。

筑紫 祐二 東洋経済 記者

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ちくし ゆうじ / Yuji Chikushi

住宅建設、セメント、ノンバンクなどを担当。「そのハラル大丈夫?」(週刊東洋経済eビジネス新書No.92)を執筆。

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