東日本大震災被災地の不渡手形数が急減、注目される特別措置廃止のタイミング

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震災以後、急増していた被災地3県の不渡手形実数(全国銀行協会発表)が大幅に減少している。8月22日に公表された統計によると、、福島・宮城・岩手3県の不渡実数は94枚(10年は74枚)。3月以降は前年同月比で約5倍、3月と5月には1000枚(3県合計)を超しているが(表参照)、7月に初めて前年と同水準に落ち着いた。

これについて、信用調査会社では、「震災以前に振り出した手形で決済できなかった分が6月までである程度一巡したこと、震災以後は手形発行が減少していることが原因ではないか」と話す。宮城県の手形交換所でも「震災前の手形が一巡したことが大きいと推測される」という。

阪神・淡路大震災時の不渡届出数(地震関連)を振り返ると、同じように震災以後は大きく増加した後、その後減少し、6月に入ると大きく減っている。東日本大震災と同様、当時も地震関連は不渡報告の掲載や取引停止報告などの処分を猶予する特別措置がとられ、7月11日に措置廃止が正式に発表された。同措置の実施が終了した8月2日まで、震災関連不渡届は合計98億円、8912枚だった。

地震の規模や被害状況は大きく異なるが、不渡手形実数の減少傾向は当時と似通っている。今のところ、「特別措置廃止について、話し合いのようなものはまだ行われていない」(被災地の手形交換所)。8月の実数次第だが(統計は9月22日発表)、減少の傾向が顕著になれば、特別措置廃止を見極める議論が具体化するだろう。



 ただ、今回の地震の影響で特別措置の対象となっている不渡実数がどれくらいあるかはわからない。被災地の手形交換所から全国銀行協会に対し、不渡実数とその内訳として地震関連の不渡が報告されているが、全銀協が数字を公表していないためだ。阪神大震災当時も地震関連の不渡りは特別措置の廃止後に発表された。今回は被害が広域に及ぶためほとんどが震災関連扱いとみられる。

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