日本の食文化史年表 江原絢子、東四柳祥子編

日本の食文化史年表 江原絢子、東四柳祥子編

精緻な食年表の刊行は至難の業だが、まとめ上げた編者の労を多としたい。飢饉、流行、事件、国際関係、新商品など食にかかわる多彩な内容にあふれ、読み物としても記述が非常に面白い。成敗されそうになった信長の料理人の話や、鯛(たい)を榧(かや)の油で揚げた流行料理を食べ腹をこわし間もなく死んだ家康の話なども詳しく記述されている。明治天皇の肉食に反対した御岳行者が皇居に乱入したとも……。

特に興味深いのは戦中戦後の耐乏生活だ。スイカや落花生は作付けが規制され、ガスをたくさん使う家庭にガス穴閉鎖班が出動し、週刊誌にゲンゴロウの幼虫やサナギの食べ方特集が載ったなどなど。終戦とともに「鉄兜を鍋に替える町工場が大繁盛」ともある。紙面に変化をつけているのが多数の挿絵と写真で、これを見るだけでも楽しい。年表の膨大さのためか索引に若干の疎漏が感じられるのは惜しまれるが、本書を超えるものは当分生まれないだろう。(純)

吉川弘文館 5250円

  

関連記事
Topic Board トピックボード
人気連載
Trend Library トレンドライブラリー
  • コメント
  • facebook
0/400

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

Access Ranking
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • いいね!

※過去48時間以内の記事が対象

※過去1ヵ月以内の記事が対象

※過去1ヵ月以内の記事が対象

※過去1ヵ月以内の記事が対象

※週間いいね数のランキングです。

トレンドウォッチ
行き詰まる東電支援<br>原発最後の選択

賠償費用も廃炉費用も想定から大きく上振れし、東電支援スキームは破綻の瀬戸際。東電の発電所を売却し、その代金を賠償や廃炉費用に充て、東電を送配電会社に再編する構想が浮上。