苦戦のタカタと、アイシン精機を分析する 2社を比較すれば、自動車の未来がわかる

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手持ちの現預金の状況も見ておきましょう。現金及び預金は691億円、有価証券は72億円ありますから、すぐに現金として使える分は合計で763億円です。これが多いか少ないかを判断するためには、月商1カ月分を超えているかどうかを調べます。

この期の月商は約535億円ですから、現預金は1.4カ月分に相当します。一般的には十分安全な水準です。通常であれば、資金繰りに問題はありませんが、これもリコールの規模次第です。
  
 そして、気になるのは有利子負債です。借入金や社債などを合計すると、前の期は909億円、この期は863億円ですから、少し減っていますね。

もう少し詳しく見ますと、短期借入金は157億円から208億円まで増えている一方で、長期借入金は354億円から252億円まで減っています。借入金が、長期から短期にシフトしつつあるようにも見えます。

これは、エアバッグ問題に伴って同社のリスクが高まっていることから、銀行が融資に慎重になっている可能性があります。銀行は、融資先の企業が危ないと感じると、長期借入金を減らして短期を増やす傾向があるのです。経営危機に陥っているシャープはその典型例であり、ほとんどが短期借り入れで資金を賄っています。

今のところ、前期の決算時点ではタカタは財務的には安全性には問題ありませんが、リコール費用がどこまで膨れあがるのかは不明です。

先ほども触れましたが、リコール費用はまず自動車メーカーが負担します。それを、どこまでタカタに転嫁するのか。その点もまだ分かりません。また、リコール問題がどこまで拡大するのかも不明です。今後は業績も含めて、エアバッグ問題の動向に注意が必要です。

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