算数が苦手な子は「3つの誤り」を犯している 進路の選択にも関わる大きな問題!

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保護者:「この問題は何も書いていなかったけど、どうして?」
子ども:「わからなかったから」
保護者:「どの部分がわからなかったの?もう一度読んでみようか」
(子どもに『声に出して』読んでもらう。1回読んでわからなければ3回読む。『声に出す』と黙読より理解できる場合が多いため)
保護者:「どう?」
子ども:「何となくわかる感じ」
保護者:「要するに何をする問題なの?」
子ども:「お姉さんの歩いた距離を出す問題」

必ずしもこのような会話になるとは限らず、「やっぱりわからない」で終わってしまう場合もあるかもしれませんが、重要なことは「考える」ことであり、何が「原因」なのかを追求することなのです。そうすると、次に何をしたらいいかが分かってきます。

3:日常生活で、計算ドリルをやっていない

よく学校の宿題で算数ドリルを出されることがあると思いますが、これは非常に正しくて、小学生の間は、毎日1枚程度の計算プリントを行うことがとても重要です。10分程度で終了するプリントを継続的にやるかやらないかという、たったこれだけのことで、その後の算数、数学的感性に大きな差が生まれます。

毎日、歯を磨くかのごとく

毎日歯を磨くことと同じように、日課にする必要があるでしょう。ついでに「読み書きそろばん」にあたる、漢字練習、文章音読もやってしまいましょう。私はこれらをいわゆる「子どもTO DO“3種の神器”」と考えていますが、合計で30分程度でいいので、毎日の習慣にすることです。これをやっていると次第に自分に自信がついてきます。

計算プリントでは、前の学年に習った内容の理解が不十分だと思われる場合、前の学年に戻って学習する勇気が必要です。わからないものをそのまま放置すると、明らかに次の段階に影響します。これをやらないばかりに、「勉強=つまらない→放棄する→学校には遊びに行く」という悪循環にもなりかねません。一見遠回りのようですが、「できていない部分(学年)」から始めることが何よりの近道になります。

以上が、算数ができない子の3つの原因です。そして最後に重要なことを2つお話しますね。1つは、親自身が算数・数学が嫌いな場合、あえて子どもの前で嫌うような言動をしないということです。親が算数に苦手意識を持っていると、子どもに伝染してしまうことが実に多いのです。無理に好きになる必要はありませんが、例えば買い物行ったときに、合計金額を出すクイズを出すとか、お風呂で掛け算の九九のクイズをやるとか、お小遣い帳をつけていくなど、日々の働きかけによって数字に対する興味関心を引き出すことは可能です。

もうひとつは、算数・数学が得意な親の場合です。子どもができないと、叱る傾向が強いと感じます。「どうして、こんな問題も出来ないの!」と言った具合に。言ってはいけないとわかりながらも、つい言ってしまうこの言葉。時折、我に返り、感情を吐き出すのではなく、冷静に原因分析するという建設的な方向へ“意識的”に持っていくしかないでしょう。この場合、親の修行です。子どもは日々学びですが、親も日々学びです。こうした日々の積み重ねが、きっと子どもの笑顔、親の笑顔につながることでしょう。
 

石田 勝紀 教育デザインラボ代表理事、教育評論家

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いしだ かつのり / Katsunori Ishida

1968年横浜生まれ。20歳で起業し、学習塾を創業。4000人以上の生徒に直接指導。講演会やセミナーを含め、5万人以上を指導。現在は「日本から 勉強が嫌いな子を1人残らずなくしたい」と、Mama Cafe、執筆、講演を精力的に行う。国際経営学修士(MBA)、教育学修士。著書に『子ども手帳』『子どもを叱り続ける人が知らない「5つの原則」』、『子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば』ほか多数。

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