松下、YKK、大震災 街の電器屋は逆境で育つ--ケーズホールディングス会長 加藤修一《上》

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 大学卒業後は、躊躇することなく実家を継ぐと決めていた。父は電器屋の勉強会に顔を出して情報収集に熱心だったが、仕事が忙しいので欠席も多い。そこで大学生だった加藤に、「お前が行け」と代理を命じた。

大人に囲まれながら踏み入れた勉強会には、夢が広がっていた。講師の「将来の電機業界は明るい。カラーテレビが売れれば、電器屋は海外旅行にも行けるようになる」いう話に、加藤は素直に「すごい!」と胸を躍らせた。一刻も早く、仕事をしたくて仕方がない。

実家は松下電器産業の製品しか扱わない「ナショナルショップ」だったが、父はある日こう言った。「松下幸之助はいいこと言っているけど、間違っている」。松下電器の利益と、専売店すべてを合わせた利益とを比べたら、松下のほうが多い。これは、松下のやり方がおかしい、と。(=敬称略= 中に続く)

かとう・しゅういち
業界では「理詰めで考える経営者」と呼ばれる。効率を追求したPOSシステムを導入した途端、業績が回復した買収子会社は多い。「ポイントカードでお客様を縛り付けるのは親切じゃない」と現金値引きにこだわるが、これも効率化の一環か。最も尊敬する経営者である父は、94歳の今も大きな存在だ。

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(本誌:前田佳子 撮影:風間仁一郎 週刊東洋経済2011年9月10日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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