PTAを上回る強制力?「町内会」のナゾ ここにも善意による強制が!

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大塚:勧誘するほうもつらいんですよね。PTAでも人集めをするときがありますけれど、迷惑がられるとこたえます。

“必要性”を誰にも問えない仕事の数々

紙屋:いちばん負荷が大きかったのが、近隣の自治会の集まりである「●●小学校区自治団体協議会」(以下、略して「校区」)との関係でした。各自治会長のほか、防犯、防災、交通安全、男女共同参画、社会福祉協議会、青少年健全育成委員会など地域の各種団体代表が集まる会なんですが、必要とは思えない仕事がたくさんあるんです。

けれど、その必要性を問うことがなかなかできないんですよ。ふだんの集まりで「これは、そもそも何のために?」なんていう疑問を口にしたら、「余計なこと言わないで」みたいな感じで、流されてしまう(苦笑)。

たとえば防災訓練でも、団地など集合住宅の自治会では「ドアを蹴破って部屋に突っ込んでいく方法」とか、それなりに面白いことをやっているんですけれど、戸建て中心である校区の訓練は、ごく一般的なことしかやりません。「団地に合ったこういうことをやりたい」と思っても、それは言いにくいんです。

この連載でPTAのナゾを追究してきた筆者の大塚玲子

大塚:上層部の決定、あるいは例年の慣習に対して、口を挟む余地がないんですね。

紙屋:お祭りも同様で、ぼくらは町内でも「夏祭り」をやっているから、校区のお祭りは特に必要性を感じていないんです。だから本当は「やりたい人でやってください」と言いたいんですが、それは許されません。「そんなことを言ったら、誰もやらなくなる」というので、必ず誰か要員を出さなければいけないんです。誰も出さないでいると、「なんで要員を出さないんだ!」としつこく言われます。

そうすると結局、うちみたいに「団地内のことは手伝うけれど、外のことは手伝えませんよ」という人が多い自治会だと、すべて会長の私か副会長がやらなきゃいけなくなる。それに、だんだん耐え切れなくなってきたんですね。

大塚:PTAの本部さんもよく「地域の会合に参加を強制される」ことに悩んでいます。PTAの内部(委員会など)で参加強制が起こることもありますし……。つらいですね。

紙屋:そして最後は“つるしあげ”に遭いました。校区の運動会などに要員を出さないでいたら、会議のあとに居残りさせられ、十数人の役員に囲まれて「あんたのところは、なんで人を出さないんだ!」って、深夜まで延々とやられた(苦笑)。

それで「もうやめよう……」と思って、やめました。自分でも「こういうことがあったら、やめようかな」と思っていたところもあったので。

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