【産業天気図・ガラス/セメント】ガラス、セメントとも国内値上げの成否が収益を左右

昨年来、原燃料高が続くため、旭硝子<5201.東証>、日本板硝子<5202.東証>、セントラル硝子<4044.東証>のガラス大手は相次いで国内建築用板ガラスの値上げを打ち出した。旭硝子は営業利益の過半を液晶やプラズマ向けガラス基板などの電子・ディスプレーが稼ぎ出すが、板ガラスが主体の2社にとり、板ガラスのもう一つの主用途である自動車用の値上げは難しい。建築用板ガラスの値上げの成否が今期収益を占ううえで重要になる。
 今期の「ガラス・土石製品」セクターの営業増益率(東洋経済予想)は前期比23.5%と非常に高い。その要因の一つは旭硝子の続伸で、第8世代と呼ばれる最先端液晶ガラス基板の供給が夏以降に始まる。ライバルである米コーニング社との競争は激化するが、今のところ需要拡大の勢いが勝っており、電子・ディスプレーが牽引する構図は変わらない。そして、もう一つの要因が、日本板硝子による英国ピルキントン社の買収効果だ。世界シェア3位という巨大企業を第2四半期から連結化するため、日本板硝子の売り上げ・利益は今期、急激に拡大する。したがって「23.5%増」という大きな伸び率も額面通りには受け取れず、実質ベースでは必ずしも「快晴」「晴れ」とは言い切れない。セントラル硝子にしても、値上げと原燃料のコストダウンでガラス事業を前期比微増に持ち込む方針。国内での建築用ガラス値上げが成就しないと、下位メーカーほど厳しい状況になりそうだ。
 一方、今期の国内セメント需要は5700万トンと、台風や地震被害を受けての復興特需があった前期より3.4%減る見通しだ。太平洋セメント<5233.東証>、住友大阪セメント<5232.東証>とも燃料コストの圧縮を進める半面、売価アップで前期並みを維持する構えだが、こちらもやはり値上げの成否がカギになる。ただガラス、セメントとも、仮に値上げが成就したとしても、その効果が現れて薄日が差すのは下期になる。
【鶴見昌憲記者】


(株)東洋経済新報社 会社四季報速報プラス編集部

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