ゴルフでカネを稼ぐ限界はどこにあるのか 世界の超一流と日本のトッププロの大きな差

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「フォーブス誌」の総額は年俸や賞金など「本業」で稼ぎ出した額と、スポンサー契約や広告・宣伝収入などいわゆる「副業収入」の合算。ウッズの場合、5060万ドルのうち、副業部分が5000万(約60億円)ドルと算出されていた。ゴルフが不振でも、過去の実績や契約内容によってまだまだ稼いでいるようだ。

こうした、世界の稼ぎっぷりを見ていると、確かにスポーツには「マネー・ドリーム」があるのだと思わされる。稼ぎ方を見ていると、MLB、NBA、NFLなどやサッカーは年俸額など本業収入が大半だが、テニス、ゴルフなど個人スポーツは副業の割合が大きい。1人で広告塔になるからだろう。今回トップ100入りした田中は総額2300万ドルのうち本業が2200万ドル、対して錦織は総額1950万ドルのうち副業のほうが1500万ドルだという。

日本のツアー賞金はどれぐらい?

このランクに日本のゴルファーが入ったという記憶はないのだが、日本の賞金額、いわゆる本業はどうだろうか。日本のツアーの賞金額が高くなったのは、バブル時代に1980年代から1990年代にかけてだった。物価の違いもあるので、過去のゴルファーは安かったかというとそうでもない。50年代には優勝賞金20万円、30万円でも一軒家が買えたという話を、当時のプロゴルファーからよく聞く。ただ、試合数が少なかったから、年間30試合以上になった1980年代以降は、やはり積み重なった稼ぎは多くなった。

当時、新聞社での取材で、ツアーでの賞金額によって年収はどのぐらいかを推測したことがある。日本で発表される「長者番付」(最近は高額納税者といっているが)などを参考にしていたが、だいたい1000万~3000万円ぐらい稼ぐと、その2倍ぐらい、5000万円を超えると3倍程度、1億円と超えると5倍ぐらいありそうだとされていた。

もちろん、はっきりした金額はわからないのだが、大体の目安ぐらいにはなったと思う。成績がいいということはメディアなどへの露出機会も増え、広告効果を認められ、テレビCMが入ったり、用具契約料や所属契約料が上がったり、副業部分がふくらんでいくからだ。いまは、ゴルフ業界の低迷で大盤振る舞いはできない状況なので、そんな目安も変わってきているかもしれない。

1990年代に獲得賞金2億円を超えたのは尾崎将司の2回だけ。2000年代になっても2013年に松山英樹が2億円を超えたが、1億円台後半の賞金王が多い。5倍としても10億円の年収。それでも相当な稼ぎではあるが、やはり世界のトップクラスと比べると寂しい気がする。

これからゴルフを目指す人のためには「マネー・ドリーム」も必要な要素ではあろう。

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