無印良品、見えてきた海外1000億円の大台 グローバル展開で止まらぬ高成長

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国内事業はこうしたインバウンド需要なども加わり、売上高が前期比3%増の528億円、営業利益が同8%増の57億円と堅調だ。円安の影響で粗利率は下がったものの、家具や衣料などで比較的高価格帯の商品が好調なことから、客単価は上がっている。

また、4月にオープンした成田国際空港の第3旅客ターミナルは、良品計画にとって過去最大規模の案件で、ソファベンチを約400台、フードコートにオーク無垢材のテーブルやいすを導入した。こうした法人向けの実績が注目され、自治体などからも声がかかるケースが増えており、価格なども含めてブランド価値をどこまで維持できるかを総合的に判断している。

欧州事業は赤字が続く

中国は2016年度200店舗体制を目指す(写真は都内店舗)

海外店舗の半数近くを占める中国は順調だが、第1四半期で欧米事業の営業赤字は1.8億円(前期は赤字は1.2億円)と悪化しているように、ほかのエリアでは課題もある。

不振の理由について、松崎社長は決算会見で「欧州は日本などと比べて品ぞろえが偏っている」と述べたうえで、「イギリス、フランス、イタリア、ドイツで店舗改装や拡大などを進め、品ぞろえを増やしていきたい」とテコ入れを急ぐ考えを示した。2017年2月期までは不採算店の閉鎖や再建に時間がかかり損失が続く見通しだ。

今期は中国を中心に出店を増やすほか、秋にはニューヨークのマンハッタン5番街に、売り場面積1000平方メートル超の旗艦店舗「MUJI」をオープン。来年以降、日本の小売り大手で初めてインドにも進出する予定で、6月には現地大手と合弁会社設立で合意した。

「ユニクロ」と並び、海外を軸に高成長を続ける小売り大手になった良品計画。海外の大黒柱である中国は2016年度に200店舗体制を目指し、インドや中南米など新規に展開する国を増やすという”両面展開”で、さらなるグローバル化を推し進める。

冨岡 耕 東洋経済 記者

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とみおか こう / Ko Tomioka

重電・電機業界担当。早稲田大学理工学部卒。全国紙の新聞記者を経て東洋経済新報社入社。『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部などにも所属し、現在は編集局報道部。直近はトヨタを中心に自動車業界を担当していた。

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