人間はダメだと思った瞬間からが勝負の時だ 森川亮と奥田浩美が「仕事の流儀」を語る

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奥田:大きなイベント事業は2~3年やると規模が大きくなるので、大手広告代理店が担当するようになっちゃうんですが、それでいいと思っていました。ゼロから立ち上げのところは誰にもできないことなので、私たちがやる。その後大きな事業に成長したあとは、大手や他の人に渡してしまいましょうと。今も立ち上げて、成長させるまではうちの会社が携わることが多いです。

森川:産業創生ですね。

奥田:それを20年やってきました。よく例え話で言うのは「最初のコインを手にして、次に移動できるコインが稼げたら、その先の札束はほかの人にあげましょう」。大企業は札束を手にしないと食べていけないから(笑)。

ダメだと思った時が勝負時

奥田:森川さんはおだやかな風貌なのに、LINEで給料制度や人事制度を変えたりと、ワークスタイルにも変革を起こしていますよね。

森川:サラリーマンの頃にずっと疑問に思ってたのは、なんでこの人たちが僕より給料をもらってるんだろうということ。自分の方が仕事もしているし、成果も出しているのに、ただ入社時期が早くて年上というだけで、給料をたくさんもらっている。コーヒー飲んで、新聞読んでるだけなのに許せなかった。そういう世界を変えたいと考えていました。

本質的には大企業がいいとか、お金儲けが大事とかよりも、世の中を変えるパワーが大事だと考えています。本質がもっと違うところにあるなと。アイデアがないとか、技術がないとか言うけど、結局はやる気がないからなんです。やる気がいちばん大事だし、そこに人が集まってくるわけだから。

奥田:何もしない人は、いいわけが多いですよね。子どもを育てながらでも、介護しながらでも、会社2つ経営しながらでもやれるのに、と憤りを感じることもあります。

森川:僕が前の会社の上司に言われたことで、すごくショックを受けた言葉があるんです。「森川君、賢さってなんだか知ってる?」って聞かれて、自分の力で何かを生み出して変えていくことだと答えたんですが……なんて言われたと思います?

奥田:人と迎合することとか……?(笑)

森川:「楽して儲けることだよ」って、言うんです。仕事しなくてもお金が入ってくるのがいちばん賢いんだから、会社で仕事しちゃいけないんだって。

奥田:楽ってなんなんでしょうね。

森川:誰からも責められないように何もしないで生きていくのって、それもひとつの生き方ですけど、僕は共感できなかった。大企業で新しいことをしようとするとたたかれるけど、すみのほうでじっとしてたら普通にお金をもらえますものね。

奥田:それとはちょっと違いますが、新卒で入った会社では上に行けば行くほど、動いちゃだめだよ、何もしちゃいけないと言われました。部下だけで回せと。部下を育てるという意味もありますが、楽をしろという意味合いもあって複雑な気分でした。

森川:楽する賢さとは何かを考えさせられますね。

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