「異常に持ち帰りが多くなった」天丼店の真実 当事者さえもわからなかった謎を解く

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取材班は運営会社であるテン コーポレーションの本社を直撃。担当取締役に、ビーンズ赤羽店でテイクアウトが多い理由を尋ねてみた。すると、意外な答えが返ってきた。「よくわからないんですよね」。

本社の偉い人なのに、わからないとはどういうことか?さらには「私たちにもよくわからないので、ぜひ調べてほしいです」(担当取締役)とまで言われてしまった。

ただ、こちらはこれまで『世にも不思議なランキング』をいくつも解き明かしてきた。ここまで来たら自分たちで調べるしかない。取材班はまず、現地に向かった。

持ち帰りのお客さんで列をなす店内

その場所は、JR赤羽駅から徒歩わずか1分の高架下にあった。確かにお客がたくさん集まりそうな立地だ。店内に入ると食事時でもないのに、テイクアウトコーナーに5人のお客が列をなしている。食事スペースが狭いワケではない。調理にかけている時間が特別早いという特徴もない。

この店で10年以上働くベテラン店員に聞いてみた。「特にこれといって思い当たることがないんです」。ここでもそうなのか。お店側の当事者は誰も理由がわからないのに、なぜかテイクアウトが多いという状態になっている。

テイクアウト客を一人ひとり観察していると、あることに気づいた。天丼を1人前ではなくて3~4人前あるいはもっと多い数を大量に買い求めて店を出て行く人が多いのだ。

「子どもが多く、お店だとバタバタしちゃうので」「6人家族なんですけど今日は1人いないので5人前買いました」「揚げ物を(家で)やると大変なので」――。実際に大量購入するテイクアウト客を捕まえてみると、こんな話が聞けた。JR赤羽駅の近辺は団地が多い。家族のために持ち帰って、一緒に食べているのだろう。

だが、これはあくまで現象にすぎない。根本的な理由は別のところにあった。複数のテイクアウト客が言う。

「一度あたしも持っていかれてね」

「わかんないもんね、いつ持っていかれるか」

「一回撤去された事があるので気をつけています」

いったい何のことか?

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