セミナーレポート

「新政権誕生から4年、
アジアのラストフロンティアとして
注目を集めるミャンマーの現状と将来展望」

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【講演Ⅱ】
「ティラワ経済特区の税務恩典と留意事項」

KPMG Advisory (Myanmar) Ltd. 事務所長
藤井 康秀

KPMGミャンマー事務所の藤井康秀氏は「課題も多いが、改革は着実に進んでいる」と評価して、外国投資の認可手続きや、SEZの恩典、税法上の留意事項について説明した。ミャンマーでは、業種によっては外資規制がある。規制がなければ、会社登記所にあたるDICAの営業許可を得るだけだが、外国投資法に基づいて規制業種がSEZ外へ進出する場合、半年以上の手続き・準備を要するミャンマー投資委員会(MIC)の認可が必要。一方、SEZ法での進出は、ワンストップサービスセンターに申請すれば、30日以内で許認可が得られる。

インセンティブは、法人税免税がSEZ外では5年間、SEZ内のフリー・ゾーン企業(輸出型製造業)は7年間、それ以外のプロモーション企業が5年間だ。ただしSEZ内では、さらに5年間は50%軽減税率、その後5年間は再投資による利益に50%軽減税率が適用と、3段階の恩典がある。居住法人と非居住法人の法人税率差は、今年4月開始事業年度より撤廃されたが、源泉税率は居住法人2%、非居住法人3・5%と異なったままになっている。藤井氏は「ミャンマーでは、外国法人の支店の源泉税還付が受けられないなど制度上の不備も多いが、段階的に是正されていくと期待しています」と語った。

【講演Ⅲ】
「ティラワ経済特別区 Zone A 開発プロジェクト概要」

住友商事 海外工業団地部 参事 Myanmar Japan Thilawa Development ltd. President & CEO
梁井 崇史

今年6月に工業地域第1期工事がほぼ完工したティラワSEZは、すでに日本企業22社をはじめ12カ国43社が契約、11社が建設工事を始めている。開発会社ミャンマー・ジャパン・ティラワ・デベロップメントの梁井崇史氏は「ミャンマー政府は経済発展のためにティラワのプロジェクトを成功させたいという強い気持ちがある」と述べ、SEZとその周辺のインフラ整備について説明した。ティラワ周辺では、日本政府の円借款でガスパイプラインや送配電線を整備し、港湾整備、道路拡幅も決まっている。ティラワは最大都市ヤンゴンから23㌔にあり、市内からのサービス提供も期待できる。

SEZ内については、洪水対策も施され、敷地までの配電線も整備済み。用排水施設、光通信網、産廃処理場のほか、中小企業も進出しやすいレンタル工場、ワーカー向けの住宅や職業訓練校も整備する。また、ミャンマー政府のワンストップサービスセンターや税関もあり、圧倒的に充実したインフラを誇っている。梁井氏は「操業開始後のさまざまな問題にも、きちんと対応していく」と強調。近くのタンリン工科大学での採用活動支援や、近隣との良好な関係のための地域貢献活動も行い、優れた事業環境を支えている。

【特別講演】
「ハニーズのミャンマー戦略」

ハニーズ代表取締役社長
江尻 義久

婦人服の販売・企画開発を手掛けるハニーズは、テイン・セイン政権発足後の認可第1号となった外資100%子会社を2012年、ミャンマー・ヤンゴン工業団地に設立した。同社の江尻義久氏は「人件費が高騰する中国に代わる生産拠点を求めて進出しました。ミャンマー人はまじめで、手先も器用なため、2~3年で中国と大差ないレベルまで生産性も向上しました」と話す。今年3月には、第2工場を近くのミンガラドン工業団地に開設。技術を教えながら徐々に従業員数を増やし、2500人規模にする予定で、第1工場の約1150人と合わせ、大きな生産拠点となる。「残業が多くても少しでも高い給料の会社に移ろうとする従業員がいた」などと、労務面を中心に課題もあるが、識字率が高く仕様を伝えるのに問題がなく、品質を良くしようという意欲も高いといった長所も大きい。ミャンマー進出のおかげで、円安進行後の仕入れ価格上昇を抑制できているという江尻氏は「若者にハングリー精神があり、日本の昭和30~40年代を彷彿とさせる。縫製に必要な素材は、まだ中国から輸入しなければならないが、安定した価格と品質の製品を供給できる」と期待した。

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