【産業天気図・ビール/飲料】ビールはシェア争いで乱戦。緑茶戦争一巡の飲料は「守り」の年

ビールは乱戦状態だ。今年に入り、キリンビール<2503.東証>がアサヒビール<2502.東証>を抜いてトップシェアを奪回。3位のサッポロビール(サッポロホールディングス<2501.東証>傘下)も万年最下位のサントリー<非上場>にシェアを縮められている。
 この状況下、メーカーによって今年の天気がはっきりと分かれている。まず「晴れ」のキリンは、第3のビール「のどごし<生>」が絶好調。発泡酒「円熟」も好調で販売計画を2倍へと上方修正した。ワールドカップ需要も見込めるため、増収増益はほぼ確実と見てよさそうだ。アサヒは「曇り」。業務用ビールが堅調な一方で、小売店向けの発泡酒と第3のビールが振るわない。5月末に第3のビールの新製品「ぐびなま。」を発売、続く6月末にはプレミアムビール「プライムタイム」を発売して小売り向けの数量獲得を図っていく。滑り出しとなる第1四半期の業績は堅調だったが、これから広告販促費が増える懸念も。サッポロは「雨」。第3のビール「ドラフトワン」が伸び悩み、発泡酒も低調。生産コストや販促費を削って利益を捻出する計画だが、2期連続で減益となる公算大。以上からビール業界全体では「曇り時々晴れ」か。国内ビール需要が右肩下がりを続けていることに変わりはなく、シェア争いが勝敗を決める厳しい業界だ。
 清涼飲料業界の空模様も「曇り時々晴れ」となろう。前期の緑茶戦争が一巡し、各社、大型新製品に恵まれずにいる。最も厳しいのが数量伸び悩みに苦しむコカ・コーラ陣営。上場ボトラーのうち、コカ・コーラウエストジャパン<2579.東証>、近畿コカ・コーラボトリング<2576.東証>、コカ・コーラセントラルジャパン<2580.東証>は軒並み販売数量が低迷し、第1四半期は減益。三国コカ・コーラボトリング<2572.東証>と北海道コカ・コーラボトリング<2573.東証>も横ばいが精いっぱい。
 一方、キリンビバレッジ<2595.東証>は広告販促費の見直しが効いて滑り出しは好調。ただし親会社キリンビールが公開買い付けで完全子会社化するのに伴い、今年10月ごろには上場廃止となる。アサヒ飲料<2598.東証>は引き続きコスト削減と基盤ブランド拡売路線で安定成長を続けている。
 このようにコカ陣営を除く各社は販促費見直しで収益回復基調だが、それでも状況は厳しい。まず、量販店がメーカーの新製品乱発に辟易し、採用率を減らしている。その一方では、スーパーやドラッグストアの安売り合戦が続いている。おのずと安定採用してもらえる基盤ブランドの強化と、販促費などコスト削減で利益を確保するほかなく、数量底上げが難しい状況だ。
【前田佳子記者】


(株)東洋経済新報社 会社四季報速報プラス編集部

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