スカイマークvs大口債権者、舌戦の一部始終 債権者向け説明会で際立った両社の"深い溝"

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長峯取締役:仮に外国のエアラインに同様の支援ができるかというと、スカイマークは羽田に拠点があるので、整備士は日本の資格を充足しなければならない。安全運航を維持するためには、国土交通省と調整する仕組みやノウハウ、能力がないといけない。外国のエアラインがスポンサーとなるスカイマークの再生の蓋然性については、疑問を持たざるをえない。

スカイマークはこの先、どこへ向かうのか(撮影:尾形文繁)

上田弁護士:条件を満たせば、外国のエアラインでも構わないということか。

長峯取締役:基本的には、国土交通省の考えにのっとった判断になる。

上田弁護士:イントレピッドの再生計画として、現在複数の航空会社と交渉を進めているとの説明があったが、この点について何らかの確認をしているか。未確認であれば、私から一言、現状を説明させていただきたい。

中原弁護士:この航空会社に決まったという具体的な話はもらっていないので、未確認ということになる。

上田弁護士:現在きちんと交渉しており、その点については次回(来週15日)の説明会で説明する。

中原弁護士:現在交渉しているという話なので、決まったという話を聞いていないという私の答えに矛盾はないのではないか。

攻防の最後に席を立ったのは?

上田弁護士とスカイマーク側との“攻防”が続き、説明会も終わろうとした時、マイクを手に取った人物がいた。スカイマークの井手隆司会長だ。

「そもそも、われわれがANAとスポンサー契約を結ぶに当たって、最大債権者であるイントレピッドから『ANAの支援をもらうべき』という意見をもらい、ANAと話を進めてきた。そこはよくご理解いただきたい」

井手会長の強い口調で締めくくられた説明会。スカイマーク陣営とイントレピッドとの“深い溝”が、改めて浮き彫りとなった。

中川 雅博 東洋経済 記者

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なかがわ まさひろ / Masahiro Nakagawa

神奈川県生まれ。東京外国語大学外国語学部英語専攻卒。在学中にアメリカ・カリフォルニア大学サンディエゴ校に留学。2012年、東洋経済新報社入社。担当領域はIT・ネット、広告、スタートアップ。グーグルやアマゾン、マイクロソフトなど海外企業も取材。これまでの担当業界は航空、自動車、ロボット、工作機械など。長めの休暇が取れるたびに、友人が住む海外の国を旅するのが趣味。宇多田ヒカルの音楽をこよなく愛する。

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