もし「給与遅配」が起きたら…正しい対処法は 三重のコミュニティFMで起こった"珍事"

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「そうですね。それまで良好であったなら、8人もの労働者が、遅配のあったその日のうちに退職するということは考えにくいです。給料の遅配以外にも、退職の『やむを得ない事由』があったのでしょう」

「やむを得ない理由」以外は、損害賠償の可能性も

もし、特に理由がなかった場合、引継ぎもしないで辞める行為は、損害賠償の対象となるだろうか。

「退職をすることの『やむを得ない事由』がないのであれば、勝手に退職することは債務不履行として、損害賠償請求の対象となる可能性があります。もちろん、その内容は、雇用期間の長さ、定めの有無によって多少異なります。

ただ、実際に損害賠償請求の可否が裁判で争われたということは、そう多くないようです。むしろ、辞めたいといっても辞めさせてもらえないという相談が多いのが現状です。

辞めさせてもらえない場合、そのまま勤務を続けることが心身の不調を生む危険もあります。弁護士に相談するなど、専門家の意見を聞くことをお勧めします」

土井弁護士はこのように話していた。

土井 浩之(どい・ひろゆき)弁護士
過労死弁護団に所属し、過労死等労災事件に注力。現在は、さらに自死問題や、離婚に伴う子どもの権利の問題にも、裁判所の内外で取り組む。東北学院大学法科大学院非常勤講師(労働法特論ほか)。
事務所名:土井法律事務所
 
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