財政悪化と経済停滞は先進国共通の構造問題、日本企業は円高前提に対応策を--加藤隆俊・国際金融情報センター理事長(元財務官)《世界金融動乱》

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--今後予想される米国の対応策は。

9日の米連邦公開市場委員会(FOMC)の声明にあるが、FRBは今回の時間軸政策の強化以外にも、状況に応じて他の金融面からのツール(政策手段)を活用することを検討するとしている。
 
 FRBは、今年下半期の米国景気は上半期よりも拡大するとの基本的な見方は変えていないと思うが、雲行きが怪しいということになれば、一段の数量面からの金融緩和や資産の買い取り(第3次量的緩和=QE3)も俎上に上ってくるかもしれない。

--量的緩和政策の効果をどう考えるか。

一つは、マーケットへのメッセージという意味では、先行き不安を解消しようという当局の姿勢を表明することでプラスだと考えられる。
 
 ただ、長期金利は下がってきており、実質的にどの程度効果があるか、目に見えて実体経済にプラスになるかどうかは、日本の経験を見ても、議論の分かれるところだろう。

■「行き過ぎたドル安」ではない

--米国の景気が二番底に陥るリスク、ドルが1ドル=70円を割るような下落となるリスクは高いか。

何とも言えない。両様に展開する可能性があると思う。

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