【産業天気図・商社】資源価格が依然強含みで今期も成長が続く

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総合商社上位5社の純益は、前期までの7割増、倍増といった爆発的な成長率こそ望みにくいものの、今07年3月期も上期から1割~5割程度の成長は持続する見通しだ。空模様で言えば「快晴」が続こう。
 収益成長を引っ張るのは今期も資源エネルギー部門。今06年度に1割程度の値下げが決まった原料炭は例外で、鉄鉱石はこのほど19%値上げで決着。原油も1バレル=70ドル(WTI価格ベース)を挟む歴史的高値圏で推移。銅、アルミなど非鉄金属は6月に入って落ち着きを見せたが、4月以降、棒上げの状態が続いた。各社とも原油で55~58ドルなど、総じて資源価格の前提条件を保守的に設定し、資源エネルギー部門の収益を横ばい程度と予想しているが、中間決算時には上方修正となる公算が大きい。
 さらに各社は石炭、鉄鉱石、原油など生産・開発権益を拡大中。たとえば丸紅<8002.東証>は前期末にメキシコ湾の大型原油権益を買収した。伊藤忠商事<8001.東証>も権益参画するカスピ海油田の生産が今期本格化する。三井物産<8031.東証>も豪州等での原油・ガス田生産拡大がある。
 世界経済が急減速しないならば、海外プラント・IPP、自動車等の機械、化学など非資源分野も、着実に収益拡大の波に乗ることが見込まれる。
 個別で見て、高い収益成長度が期待できそうなのが丸紅と三井物産の2社だ。丸紅は原油の大型権益拡大に加え、得意の銅や海外IPP・プラントも収益底上げに寄与。前期に計上したウミ出し費用が消えることもあり、今期純益は会社計画の1000億円を超える1100億円と、前期比5割増が予想される。三井物産は優位性を持つ鉄鉱石・原油に値上げ・高騰の恩恵が見込めるうえ、前期のリストラ特損等も消え、純益は会社予想の2400億円を上回る2550億円、同26%増に達する可能性が高そうだ。
【大西富士男記者】


(株)東洋経済新報社 会社四季報速報プラス編集部

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