日本版スマートグリッドは離島から始まる! “先進地”黒島・屋久島現地ルポ

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 そう、屋久島は日本で唯一、10電力会社に発電を依存しない場所。代役を担うのは従業員129人の屋久島電工という地元の化学メーカーだ。地域独占を認める電気事業法に基づけば、電力供給義務も本来は九州電力にある。が、屋久島電工は経済産業省から特別な許可(特定供給の許可)を得て電力事業を行う。

さらには発電・配電も分離している。各家庭への配電は屋久島電工ではなく地域ごとに分かれた四つの配電組織が担う。九州電力は、ここでは配電組織の一つにすぎない(図)。おのおのが担当エリアの配電設備の整備を行い、電気利用料の決定権を持っている。したがって料金も、島内のどの地域に住むかによって異なっている。



 歴史的には電気の供給を独自の発電・配電組織が担う離島は珍しくなく、離島の電力が大手電力会社に移管されたのは、戦後から80年代にかけてだ。屋久島だけが残ったのは、日本最多の年間降水量と急峻な地形という水力発電にとって絶好の環境が、本土よりも安い電気を島民に提供していたためである。

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