ゼロからの文明再興に必要なものとは? 復興のための速攻マニュアル

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文明が失われたとき、再興させるにはどうしたらよいのか?(写真:bouybin / PIXTA)

先週末、30年ぶりにシリーズ続編として公開された映画『マッドマックス 怒りのデス・ロード』は突き抜けてすさまじい、破壊的なエンターテイメントだった。

崩壊した地球文明の後に残った脳筋の男共が滅茶苦茶に改造され、もはや原形が何だったのかさっぱりわからない車とバイクに跨り、何故か火を吹くギターを持って、裏切り者の女共を追いかけ上映時間のほとんどをカーチェイスに費やす。走れども走れども砂漠以外何も見えない、荒廃した大地。資源は限られ少ない物資をヒャッハー!! と、暴力によって奪い合う、力こそ正義! な地獄絵図な世界が広がっている。

文明が失われたらどうなるのか

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しかし、仮に核戦争なり宇宙人の侵略なり異常気象なり隕石の衝突なり、原因をどこに求めるにせよ、文明がいったん崩壊してしまったとしたら、本当にそんな破滅的な状況になるのだろうか? 失われてしまった文明はもはや戻らないのか? 逆に復興できるとしたら、どうやって? 本書『この世界が消えたあとの科学文明のつくりかた』は書名そのままに、われわれの知っている「この世界」が終わった時に生き延びる方法ではなく、生き延びた後に、「いかにして文明を再興するのか」を教える、復興のための速攻手引書だ。

文明が崩壊し、使えるものがほとんど残っていない状態で、内燃機関や正確な時計、顕微鏡を作ることができるだろうか? 作物や、衣服を作ることは? 少なくとも、最先端の工場もなしにスマートフォンを作ることなんてできやしないし、インターネットをゼロから作れる技術者もいない。あまりに複雑化した現代社会において、職業は専門毎に分断されており、われわれの身の回りに存在するなんてことない製品、たとえばトースターひとつとっても一人の人間がゼロからつくることは想定されていない。

であればこそ「ゼロから文明を再興するためには、どんな情報を残せばいいのか」という想定は壮大な思考実験の体をなしてくる。いったいどのような情報を優先して残すべきなのか。

自己啓発書や経営のルールを残しているような場合ではないだろう。

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